「時間はかかりましたけど…」東京ダービーで“屈辱”を味わったアタッカーが札幌戦で大仕事【FC東京】

2024年6月26日、FC東京が味の素スタジアムに北海道コンサドーレ札幌と迎えた一戦は80分を過ぎても0-0のまま。このままスコアレスドローで終わるのではないかと、そんな結末も予想できた状況下で青赤軍団に歓喜を呼び込んだのは安斎颯馬だった。

84分、原川力が右サイドからゴール前にクロスを上げると、それに反応した安斎が左足のダイレクトボレーで決勝弾を叩き込んだのだ。6月16日のジュビロ磐田戦で貴重な同点ゴールを奪ったアタッカーが、札幌戦でも大仕事をやってのけたのだ。安斎は語る。

「原川選手から良いボールが来ました。味スタで勝ちたかったので、気持ちで押し込んだゴールでした」

安斎は「あの東京ダービーからチームのために戦いたい」と思っていた。4月13日に味スタで開催された東京ヴェルディとのダービーで、安斎は43分に退場と屈辱を味わっている。その結果、チームは数的不利の状況に陥った。結果こそ2-2の引き分けだったが、安斎の心にはモヤモヤが残っていたのだろう。そのモヤモヤを消すうえで、「自分がチームを勝たせる」ことが必要だった。

そして、6月26日、チームの勝利にダイレクトにつながるゴールを決めた。

「時間はかかりましたけど、こうしてひとつこうやって形になったのは嬉しいです」

札幌戦のゴールで、ピーター・クラモフスキー監督、さらに選手からより信頼されるようになるはず。その点で、磐田戦の同点弾を含む2ゴールの意義は大きい。

「自分自身にとっても大きい2得点。ただ、点を取ったことによってさらに結果が求められるので、監督、選手、ファン・サポーターの期待により応えられる選手になりたいです」

そんな安斎に訊いてみた。「こうしてゴールを積み上げていくと、得点への感覚が研ぎ澄まされていくと思います。そういう手応えはありますか?」と。安斎はしっかりとした口調でこう答えてくれた。

「最後にボールが来る感覚はあるので、そこは継続してやっていきたいです」

安斎の嗅覚がチームに流れを呼び込むきっかけになるかもしれない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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