毎日文句ばかり言う夫、リタイア後に家にこもりっぱなしの夫……。平穏な日々を取り戻すために、夫とどうつき合うとよいか？ 人生を前向きに生きる達人・吉永みち子さんから、アドバイスをいただきました。
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回答者
吉永みち子さん ●作家よしなが・みちこ●1950年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒業。競馬専門紙や夕刊紙の記者を経て作家に。85年『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。現在は著作活動の他、テレビのコメンテーターとしても活躍中。幅広いジャンルを取材し、著書に『老いの世も目線を変えれば面白い』など多数。
【相談1】わがままで口うるさい夫との生活は我慢の連続です！
夫は好きな料理が食卓に出ないと不機嫌になって口をきかないことも。ずっと家にいて、外出するのは病院、床屋、パチンコくらい。自分は座って私に指図して文句ばっかり。
私が部屋を自分好みに変えたくてものを置くと、「ものを置くな、捨てろ」と言い……。夫に気を使って神経が参ってしまいます。夫よりも一日でも長く生きるために体を鍛えなきゃと思います。
（KUさん・70歳・北海道）
【吉永さんのアドバイス】夫はきっと長生きしますよ（笑）。被害者意識を捨てて夫婦関係を変えていきましょう
「憎まれっ子世にはばかる」といいますから、ご主人は案外長生きしそうです。体を鍛えるのも悪くありませんが、夫の死後の自由を求めるよりも、今あなたが自由になる方法を考えましょう。
といっても離婚をすすめているわけではありません。夫の不満を先読みして自分を縛ることをやめるのです。
夫が食事に不満を言うなら、事前に「何が食べたい？」と聞くようにします。答えないなら「私に任せるってことでいいね？」と確認すれば文句は言えないはず。
「ここにものを置くな」と言われたら、「捨てていいよ」とだけ答えましょう。あなたが片づける必要はありません。夫の指図など、全部無視していいんです。
今までと違う反応をすれば、夫も別な言動を選ばざるをえません。そのうち、少しずつ夫も変化します。新しい関係を築くのは今ですよ。
【相談2】リタイアした夫。もう一度 社会とのつながりをつくってほしいのですが
65歳でリタイアし家にいる夫。「この先を考えてね」と言ったとき「わかった、わかった、考える」と返事したまま1年以上が過ぎました。ずっと家にいて、座ったきり動かないんですよ。
娘が「ゴミくらい出してよ」と言ったら、ゴミ袋を玄関先に置きっぱなしに。集積所でご近所の人に会うのが嫌みたいです。
私は「今日、どこ行くの」と夫から聞かれるのが嫌です。
（Nさん・63歳・東京都）
【吉永さんのアドバイス】何をしたらいいかがわからなくなっているんです。一歩踏み出す手伝いを
長い間、外出する目的が「会社」と「家族サービス」しかなかったんでしょうね。だからリタイアしたとたん、外に出る目的を見失っちゃった。ご近所さんは知らない人ばかりだし、家にいるのが一番ラクなんです。そういう「引きこもり夫」は日本中にたくさんいると思いますよ。
でもあなたのご主人はまだ大丈夫。この先のことを「わかった、考える」と（一応は）言っていますし、あなたに「どこ行くの」と聞くのも興味があるから。今がチャンスです。習い事でも散歩でも「一緒に行く？」と誘い、最初の一歩を踏み出す手助けをしましょう。買い物につき合ってもらい、一緒に料理するのもいいでしょう。
面倒かもしれませんが、放置しておくと完全に引きこもって、先々もっと面倒なことになります。あなたの自由のためにも、夫と社会をつなぐ役割を果たしましょう。
※この記事は「ゆうゆう」2022年5月号（主婦の友社）の内容をWEB掲載のために再編集しています。
※2023年6月24日に配信した記事を再編集しています。
