県庁所在地なのに…レトロな駅舎が一新!9/29開業『新』JR松山駅の姿は?念願の自動改札も?最新状況&計画を徹底解説!

15年以上にわたる“高架化工事”を終え、いよいよ2024年9月29日(日)に開業することが発表された『新・JR松山駅』。

現在の駅舎は、全国的に見ても、県庁所在地の駅としてはかなりレトロな雰囲気を漂わせる建物ですが、現在建設中の“新駅舎”はこのイメージを刷新するものでした。

新しい駅はどんなものになるのか…?
そして、駅周辺の街は今後どのように開発されていくのか…?

工事の最新状況や、これから具体化していくであろう自治体やJR四国の計画をまとめました。

2024年9月29日完成! “高架化”で線路はどうなる?

JR松山駅では、愛媛と香川を結ぶ予讃線の線路を道路の上に架ける“高架化”が進められています。区間は松山市美沢2丁目から空港通1丁目までの約2.4kmです。

この高架化事業は、当初「えひめ国体」が開催される2017年中の完了を目指していましたが、県の財政難を受け断念。

その後、2009年2月に着工したものの、土地の収用が難航し、完了予定が2020年から2024年春へと大幅に後ろ倒しに。

去年1月には、架道橋の2か所で「設計ミス」が発覚した影響で、さらに半年遅れとなりましたが、このほどついに2024年9月29日の工事完了&新駅舎開業が発表されました。

渋滞解消に、賑わい創出も?“高架化”で期待される効果は

高架化事業で期待される効果として、愛媛県は、
▼渋滞・事故の解消
▼駅西地区の活性化
▼安全・快適な施設利用
▼陸の玄関の刷新
を挙げています。

最も分かりやすい「渋滞・事故の解消」について見ていきましょう。

現在、JR予讃線の線路が通る道路の周辺では、踏切で車の流れが停滞することによる渋滞や事故が発生しています。

しかし、今回の高架化事業で線路が高架化され、踏切が無くなれば、渋滞・事故の解消につながると見込まれています。

また、JR松山駅の西側(南江戸方面)は、市内中心部と駅舎や線路を挟んで分断されており、行き来が不便という課題がありました。

しかし、高架化に伴って新たに駅の西口が設けられ、コンコースを通じて東側と結ばれるほか、車でも駅舎・線路の東西を行き来しやすくなるため、駅西側の活性化が期待されています。

実際、利便性向上への期待からか、2022年7月には松山市南江戸3丁目の地価(=土地の価値)が前の都市から1.9パーセント上昇しています。

これまでのイメージを刷新! 近代的な新駅舎がこちら!

線路の高架化に伴って進められているのが「新たな駅舎の建設」です。

現在の駅舎は1953年に改装されたもので、2000年には小説『坊っちゃん』における旧制松山中学や初代松山駅をイメージした三角屋根も増設されています。

全国的に見ても、県庁所在地の駅としてはかなりレトロな雰囲気を漂わせる建物ですが…現在建設中の“新駅舎”はこのイメージを刷新するものでした。

2024年6月時点の工事の進捗を見てみると、すでに高架化された線路と新しい駅舎が姿を現していて、生まれ変わる松山駅への期待が高まります。

外観は黒を基調とし、周辺の住宅街に溶け込む落ち着いたデザインとなっていて、高架下にはコンビニや飲食店などの商業施設が入る予定です。

また、これまで駅の東側(=大手町方面)だけだったタクシー乗り場などが、駅の西側にも設けられる予定だということです。

現在は有人改札…ついに自動改札が導入?

現在、JR松山駅ではSuicaなどの交通系ICカードを使用することはできない上、改札で切符を駅員に手渡しする「有人改札」で運用されています。

しかし、JR四国が今年3月に公表した「JR四国グループ事業計画2024」によると、松山駅の高架化に合わせた「自動改札機導入等による利便性向上と利用促進」を掲げています。

詳細はまだ発表されていませんが、ついに松山駅も自動改札になるのか、注目です。

高架下の商業エリアにはどんな店が入る?

今年3月、JR四国は新しい松山駅の高架下に入る商業施設の詳細を発表しました。

コンセプトは「ぎゅっと、ずっと“愛媛を紡ぐ松山GATE”」

地元の食材を使った飲食店や土産物店など、愛媛らしさを前面に押し出した18店舗が軒を連ねる計画です。

JR四国の発表によると、現時点で入る予定の店舗は以下の通りです。

【土産物店】
①安岡蒲鉾
②山田屋まんじゅう
③Story of cheesecake
④伯方の塩ショップ
⑤極々果実 ちゅうちゅうSHOP
⑥Graceful Gift Shop by ハレノヒヤ

【飲食店・弁当店】
①オイシイオト
②THREE FISH COFFEE
③えひめしや
④55CHINA
⑥鮨 酒 肴 杉玉
⑦うなぎ小椋

【その他】
①セブン-イレブン Kiosk
②P・SPO STUDY ROOM

なお、これらの商業施設は、高架への切り替えと同じく2024年秋の開業を目指しています。

市内電車の線路が延長 JRとの乗り換えがラクに?

愛媛県やJR四国は、松山駅について「交通結節点」としての機能向上を目指しています。

他の交通機関との連携強化を図る中で、路面電車やバスとのアクセス向上を目指し、こんな計画が検討されています。

松山市中心部を走る伊予鉄道の市内電車(=路面電車)には「JR松山駅前」という駅があるものの、電停は松山駅と車道で隔てられていて、行き来する際には地下通路を通るなどしなければなりません。

そこで、伊予鉄道は「JR松山駅前」の電停を松山駅の目の前に移設し、乗り換えをスムーズにする計画です。

また、松山市は市内電車の線路を高架化したJRの線路の下に通すことで、大手町~松山環状線まで約700メートル路線を延伸する計画も打ち出しています。

さらに、将来的には市内電車を松山空港まで延伸する構想もあり、現在はバスのみに限られている市内中心部から空港へのアクセス手段が増えるかもしれません。

バスタ新宿に続け!松山駅周辺の「バスタ」整備は?

松山市はJR松山駅の東側に、バスターミナル「バスタ」の整備を目指し、現在検討を進めています。

「バスタ」は、国が全国各地で整備を進めているバス・鉄道・タクシーなどの様々な交通機関がつながる集約型ターミナルのことで、2016年に供用開始された東京の「バスタ新宿」がそのさきがけです。

全国では7か所で事業化、松山を含む2か所で検討会の設置に至っています。

松山市では2022年から専門家や交通事業者で構成する「松山駅交通拠点機能強化検討会」の場で話し合いを重ね、去年11月に「整備方針」が策定されました。

この整備方針の中では、バスタを整備するにあたっての次の5つの柱が示されています。

①バスやタクシーなどの乗降場・待機場を集約し、鉄道や路面電車を含め多様な交通手段間の接続を強化
②伊予鉄道松山市駅とのアクセス強化など駅周辺地区の交通円滑化
③次世代モビリティー導入など移動の利便性・回遊性向上
④災害時の帰宅困難者受け入れなど防災機能の導入
⑤効率的な施設運営に向けた官民連携

松山市はこの方針をもとに、より具体的な「事業計画」の策定を進めるということです。

「ホール」か「アリーナ」か 車両基地跡地には何ができる?

JR松山駅の南西にはかつて車両基地がありましたが、2020年2月に伊予市と松前町の境に移転。古い車両基地が解体された跡地は、松山市が取得を予定しています。

この“車両基地跡地”に何を建設するのか、松山市は現在検討を進めていますが、その候補として挙がっているのが「ホール」と「アリーナ」です。

松山市は基本構想として、市民が文化・芸術活動を発表したり、コンサートを開催したりでき、防災機能なども備えた「ホール」の整備を想定していました。

去年11月には、ホールを建設する場合の規模について、41社の民間事業者から意見を募った結果、全国区のアーティスト等がコンサートを開催することを想定した場合、最も需要が高い「2000席程度が適当」という意見があったと発表しています。

一方で今年4月、愛媛経済同友会がBリーグに所属する愛媛オレンジバイキングスの将来的なトップリーグ参入などを見据え、5000人以上を収容できる「アリーナ」を整備するよう、野志市長に要望しました。

松山市がホールの整備を予定していることに対して、経済同友会は「アリーナは基本構想の機能を満たし、ホール以上の効果がある」と説明しています。

松山市は、他の自治体のケースも調査しながら検討したいとしています。

線路の高架化に新たな駅舎、交通機関との連携に公共施設の建設など、周辺も含めた再開発の在り方が計画・検討されているJR松山駅。

愛媛県の県庁所在地「松山市」の中核を担う駅として、これからどんな変化を遂げるのか注目したいところです。

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