横峯さくら“ママ”が奮闘69の好発進「戦えてないよ」夫からのゲキに火が付き直近3戦連続で予選通過

 18番、ティーショットを打つ横峯さくら(撮影・伊藤笙子)

 「女子ゴルフ・資生堂レディース・第1日」(27日、戸塚CC西C=パー72)

 ツアー通算23勝の横峯さくら(38)=エプソン=が3バーディー、ボギーなしの69をマーク。ホールアウト時点では暫定6位、その後はスコアを伸ばした午後組の影響で順位をわずかに下げているが、初日から好スタートを切った。

 前週優勝した黄金世代のさくらに続き、今週は元賞金女王のさくらも好発進を決めた。朝から1Wの調子が悪く、前日はダンロップのゼクシオと決めていたクラブセッティングもスタート20分前に白紙。急きょヤマハのドライバーに変え、「これだったらいけるかな」とドタバタの中でスタートした。

 それでも「後半はグリーンに乗らなくて、耐えて耐えてという感じだったんですけど」と我慢の展開ながら、4番は30センチ、12番は1.5メートルを沈めるなどチャンスを生かし、ピンチもアプローチとパターでしのいでボギーフリーで回った。

 今季は3月のアクサ・レディースから10戦連続の予選落ちがあったが、かつての同い年の戦友が冠名の宮里藍サントリー・レディースから3戦連続予選通過。ニチレイレディースでは14位と好成績を収め、QTランキング40位からリランキングは37位と一歩上昇。中盤戦はほとんど出場できる見込みだが、試合に出るというよりは「もっと上を目指したい。シードを取りたい」とより高い目標を設定している。

 2021年2月に長男の桃琉(とうり)くんを出産し、同年5月にツアーへスピード復帰。ただ、子育てとツアーの両立は簡単ではなかった。夫の森川陽一郎氏との子育て方針について「やっぱり幼稚園に預けることも考えたけど、でもやっぱり一緒にいたい。今の時間ってすごく大事だと思っている」と家族一体でツアー転戦する理由を語る横峯。ここ最近の成績が良くなる前は、宿舎から出る直前まで息子の世話をすると、ゴルフ場にまで頭の中に息子がよぎっていた。一方で、宿舎に帰ると今度はゴルフのことが離れない。「考えないようにしようとしても、どうしても頭の片隅にあって休めなかった」と子どもと仕事、オンとオフの切り替えができていなかった。

 きっかけは夫からの助言。「ほんとに『戦えていないよ』ってずっと言われてて。私自身気づかなくて」とプレーに集中できていないと指摘を受け、「戦ってるし、みたいな感じで(内心)思っていたけど、でもやっぱり実際シビアな世界。自分のことを客観的に見たときに、『うわ、ほんとに戦えてないわ』という感じで」と現状を受け入れ、オンとオフを分けるようになった。

 もっとも、今週は主催の資生堂側で託児所が用意されているだけに、子どもの心配は多少減った。3歳の桃琉くんと言葉のやりとりが日々増え、成長を感じられることも安心材料だ。試合へ出場する際に、たまには「日によるけど、今でも『やだやだ』って言って離れたくない感じはちょっとだけある」と難しい日もあるが「一緒に転戦して癒やされるし、大変だけど近くで成長を、その日その日で全然違う顔を見せてくれるのでうれしい」と少しだけ母の顔をのぞかせた。

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