コンビニ各社のおにぎり&吉野家でも新商品発売の「もち麦」 ヒットの裏にコロナ禍での食生活の変化

コンビニでも人気のもち麦おにぎり  撮影/編集部

ローソンやファミリーマート、セブンイレブン、今や日本の食生活を支えているコンビニエンスストアの食品棚に所狭しと並んでいるのはおにぎりだ。ランチ時のオフィス街では争奪戦となることも珍しくはないコンビニのおにぎり。今、そんなコンビニおにぎり市場に大きな変化が起きているという。

「白米にシーチキンや昆布、梅干しといった具材の組み合わせが定番だったコンビニのおにぎりですが、1年ほど前から商品棚で目立つようになったのはもち麦を使用したおにぎりです。6月4日にはローソンが国産もち麦を使用した『しらすの菜飯』(167円・税込・以下同)と『梅しそごはん』(157円)を新たに発売。

さらには、牛丼チェーンの吉野家も6月6日よりもち麦の上に具材をのせた『牛麦とろ丼』(657円・並盛り)を発売しています。もち麦は、まさに今、外食産業でブームと呼べる食材なのです」(夕刊紙記者)

吉野家も参戦のもち麦市場 ※撮影/編集部

食べてみると粘り気のある“もちもち”とした独特の食感が口の中に広がるもち麦おにぎり。そんなもち麦が人気の理由はどこにあるのか。弊サイトは、トレンドウォッチャーとして活躍し、栄養士の資格も持つ藤原奈津子さんに話を聞いた。

「もち麦は食物繊維が豊富。食物繊維の含有量が多いと言われる玄米で100グラム中3グラム。もち麦にはその4倍もの食物繊維量があると言われています。食物繊維には腸内環境を良くする作用などがあり、ダイエットにもピッタリ。独特のプチプチ、もちもちとした食感も人気を集める理由でしょうか」(藤原さん)

■もち麦が新たな国民食になる2つの理由

栄養素の高さと独特の食感が注目を集めるもち麦。2020年から23年の間に世界を襲った新型コロナウイルスにより起きた、家庭における食生活の変化ももち麦ブームには大きく関係していると、藤原さんは話す。

「コロナ禍で家庭の食卓にも変化が起きた。在宅ワークも導入され自炊率も上がりましたし、何より食事を通じて免疫力を高めようと考える人も増えました。その証拠に2026年度から、国が国民生活に欠かせないとして安定供給を目指すとする指定野菜にブロッコリーが追加されました。

指定野菜が増えるのはおよそ半世紀ぶり。国民の間で健康志向が高まっている証拠です。この一連の流れの中で気軽に食物繊維が取れて、腸内環境を整えられる、体内環境を良くすることができる食材として注目を集めたのがもち麦ということでしょう」(前出の藤原さん)

藤原さんは今後、もち麦は「全国民参加型の食材になる」と語る。

「調理がしやすい、炊飯器で作ることができるというのがその理由の1つです。それともち麦はパンや白米と同じで食卓の中心。いわば、主食に当たります。おかずを作るのに使われる野菜やお肉と違って主食は代わりとなる食材がない。かつ、もち麦の場合は他の主食よりも栄養が摂りやすい。この点は消費者にとって大きな魅力となるでしょう」(前同)

コンビニや飲食チェーン店でも定番メニューに名を連ねるようになった、スーパー食材もち麦。今後、シン国民食として食卓の中心に君臨することとなるか。

© 株式会社双葉社