地球温暖化は食卓のカツオにも影響か…かごしま水族館、共同研究でふ化と水温との関係解明

カツオの卵を黒潮大水槽で採取する職員(かごしま水族館提供)

 鹿児島市のかごしま水族館は、国立研究開発法人水産研究・教育機構との共同研究で、カツオのふ化と水温の関係が初めて明らかになったと発表した。研究チームの論文は、魚類に関する専門誌「ジャーナル・オブ・フィッシュ・バイオロジー」に5月16日付で掲載された。

 共同研究では水温21~33度で卵がふ化した割合と要した時間を測定。23~31度で50%以上がふ化し、この中でも水温が高いほど要した時間が短いことがわかった。一方、32度を超える温度ではふ化率が低下。カツオの産卵場では海水温が32度以上に上昇すると予測されており、ふ化環境の悪化が懸念される。

 同水族館はカツオ約30匹を黒潮大水槽で展示している。飼育下での産卵に成功しており、外洋で採取が難しい受精卵を使った研究が可能になった。

 同館ではほぼ毎日、午後から夕方にかけて産卵が確認される。卵は直径1ミリほど。産卵前に水槽の海面近くでオスがメスを追尾する行動が見られるという。佐々木章館長は「学術研究と共に来館者が楽しめる取り組みを進めていきたい」と話した。

ふ化したカツオ(かごしま水族館提供)
カツオの卵を黒潮大水槽で採取する職員(かごしま水族館提供)

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