新紙幣発行まで1週間 栃木県内で準備着々 レジや券売機、精算機… 「費用負担大きい」と悲鳴も

新紙幣に対応した獨協医大病院駐車場の料金精算機=6月下旬、壬生町北小林

 7月3日の新紙幣発行まで1週間を切った中、栃木県内事業者がレジや券売機、駐車場の精算機など、新紙幣に対応した機器類の準備を着々と進めている。システムの変更や部品の交換で態勢を整えたところもあれば、更新時期に合わせて機器類を一新させた企業もある。一方、部品供給の滞りで新紙幣発行までの更新を断念するケースも。対応を先送りした事業者からは「費用負担が大きい」と悲鳴も上がっている。

 新紙幣は1万円札、5千円札、千円札の3券種が対象で、約20年ぶりにデザインが変わる。

 壬生町北小林の獨協医大病院では今月から、外来駐車場の発券機などを入れ替える工事が行われている。老朽化も重なり機器類を一新。駐車場には新紙幣に対応した精算機を設置し、7月1日から運用が始まる。

 方法も出入り口のゲート前での支払いから事前精算に変わる。担当者は「患者さんの利便性向上にもなる」と、新紙幣発行に合わせた更新を前向きに捉えた。

 県内に20店舗を展開するスーパー「かましん」(宇都宮市)では、6月中旬までに全店舗で200台以上あるレジや事務所内の機器のシステム改修を終えた。担当者は「間に合ってよかった」と胸をなで下ろす。

 ホームセンター「カンセキ」(宇都宮市)でも各店舗に300台ほどあるレジなどの9割以上で対応を完了した。2023年から順次進めてきたが、新紙幣発行に向け、ギリギリの入れ替え作業が続くという。

 JR東日本大宮支社によると、県内各駅の券売機は既にシステム改修を終えた。

 県なかがわ水遊園(大田原市)では今秋に券売機の更新を控えているため、当面は現行の機器を使い続ける。新紙幣での支払いを希望する来園者には、案内所で担当者がチケットを手売りする予定だ。

 費用負担を嘆く声も聞かれる。大手メーカーなどによると、新紙幣に対応するための費用はシステム改修や部品の交換は数万円、機器類の新調だと50万円前後かかり、機種によっては100万円以上という。

 宇都宮市内で立体の有料駐車場を運営する会社の担当者は「小さな企業には負担が大きい。国の政策なので補助金があれば助かる」とこぼす。部品供給の滞りで更新は12月になる見込みだ。それまでは旧札を準備して担当者が新紙幣と交換して対応するが、「場合によってはコンビニで何か買ってもらい硬貨を準備してもらうしかないですね」と申し訳なさそうに話した。

新紙幣に対応した獨協医大病院駐車場の料金精算機=6月下旬、壬生町北小林

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