高齢者施設の給食で「ウエルシュ菌による食中毒」 70代以上の入所者など34人が症状訴える 保健所「加熱したから大丈夫といった過信は禁物」

ウエルシュ菌 出典:内閣府 食品安全委員会

長野県の諏訪保健所管内の高齢者施設で34人が下痢や腹痛などの症状を訴え、保健所はこの施設で調理された食事を原因とするウエルシュ菌による食中毒と断定しました。

21日午前9時30分頃、施設の職員から「給食を食べている入所者60人中30人が昨夜から下痢を呈している」旨の連絡が諏訪保健所にありました。

患者は20日にこの施設で調理、提供された食事を食べた85人のうち70代以上の入所者など男女34人で、午後6時頃から下痢、腹痛、嘔吐、発熱の症状を訴えました。

検査や患者の発症状況から、保健所はウエルシュ菌による食中毒と断定しました。

原因のメニューは特定されていないとうことです。

患者は全員快方に向かっているということです。

保健所はこの施設の給食業務委託事業所に対し、6月28日から2日までの営業停止を命じました。

【患者へ提供されたメニュー】
・6月20 日朝食
ごはん、なすのそぼろあん、黒豆、味噌汁、コーヒー牛乳
・6月20 日昼食
ごはん、豚のおろし焼肉、ひじきの煮付け、春菊のゴマ和え、吸物
・6月20 日夕食
ごはん、五目卵焼き、花野菜のくず煮、チンゲン菜土佐和え、味噌汁

【ウエルシュ菌による食中毒】(長野県健康福祉部より)
■特徴
ウエルシュ菌は、ヒトや動物の腸管、土壌など自然界に広く住み着いています。この菌は酸素を好まない(嫌気性)菌で、芽胞(がほう)と呼ばれる胞子のような形態をとることがあり、その状態だと熱や乾燥に非常に強い特徴を持っています。食品を大釜などで大量に加熱調理すると、中心部が無酸素状態になり、芽胞の状態で生き残ったウエルシュ菌が適温になると発芽し、活発に発育を始めます。こうしたウエルシュ菌が多数増殖した食品を人が食べることにより、食中毒を発症します。

■症状
潜伏期間は6~18 時間と比較的短く、その主な症状は水様性の下痢と腹痛です。多くは1~2日で回復し、特別な治療は必要ありません。

■予防方法
カレー、シチューなどの煮込み料理や野菜の煮物は、調理したらなるべく早く食べるようにしましょう。一度にたくさん作った時は、本菌の発育しやすい45℃前後の温度を長く保たないようにしましょう。

具体的には、小分けしてから急速に冷却(15℃以下)し、冷蔵もしくは冷凍保存しましょう。

また、食品を温め直すときは、かき混ぜながら中心部まで十分に火が通る(75℃以上)ようにしましょう。

「加熱したから大丈夫」といった過信は禁物です。

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