第三セクターの肥薩おれんじ鉄道（熊本県八代市、古森美津代社長）は28日、同市で株主総会を開き、純損失1億322万円を計上した2023年度決算を報告した。鹿児島、熊本両県や沿線自治体からの補助金があったものの、新型コロナウイルス対策関連の交付金終了が響き、3期ぶりの赤字となった。
売上高に当たる営業収益は、前期比3468万円増の15億7053万円。コロナ感染症が5類に移行し、沿線地域のイベント再開や開業20周年事業の実施などもあり、輸送人員は4.7％増の102万1000人、旅客運輸収入は13.3％増の3億4500万円と伸び、いずれも19年度の水準に回復した。
営業費用は、基本給の改定や燃料費の高騰があったものの、車両検査や修繕経費の減少を受け、3342万円減の24億6348万円だった。経常損益は8億7913万円の赤字。両県などの補助金計8億3770万円を当てたが、純損失が生じた。赤字幅は22年度の9億4902万円からは縮小した。
同社は22～26年度の中期経営計画で経常損益の黒字化を目標にする。古森社長は総会後、「本年度は運賃改定やダイヤ改正を予定する重要な年。国の補助金活用や継続的かつ安定的な運行を目指すための議論を進めたい」と述べた。
役員は次の通り（敬称略。○は新任）。
代表取締役社長 古森美津代▽取締役副社長（非常勤） 森山哲也、竹内文紀▽専務取締役 ○杉本良一▽常務取締役 ○高取正俊▽非常勤取締役 中村博生、高岡利治、椎木伸一、田中良二、但野新二▽監査役 舟津欣一▽非常勤監査役 西平良将、藤崎正司
