「体験することでおのずと行動に」性別 国籍 障害の有無や違いを認め合い尊重 “インクルーシブな社会”とは【SDGs】

社会に生きる人たちを誰も取り残さない。そんな世界を「インクルーシブ社会」と呼びます。SDGsの根本的な理念ともいわれるこの考え方を広げていきたい…そんなプロジェクトが浜松市で始まりました。

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6月23日、浜松市浜名区のアリーナで開催されたのは、インクルーシブ社会を実現するためのイベント。アスリートや子どもたち、そして車いすの少年が一緒のコートで競技を楽しみました。今回のイベントが目指す「インクルーシブ」とは性別や国籍、障害の有無など違いを認め合いお互いを尊重しあいながら生きていく社会のことです。

このイベントに参加した石脇将太さん。石脇さんは、電動車いすサッカーのアスリートです。筋ジストロフィーを患い、25年間車いす生活ですが、どうしても生きづらさを感じる時があると話します。

<石脇将太さん>
「自分は電動車いすに乗っていて、呼吸器もつけているのでコミュニケーションをとるときに人と同じ扱いではないときが多い。交流する場が欲しいです。場があればどこにでも行きます」

わかり合えていないのでは?と悩むのは、在日外国人も一緒です。JR浜松駅から徒歩5分ほどの場所にあるスーパーマーケット。フィリピン出身の村上さんが母国の食材などを販売していますが、悩みの種は日本人の客が少ないことです。

<村上アイさん>
「フィリピンの食べ物とか、いろんなお菓子とか日本人に紹介したいんだけど、いろんなスイーツとか知ってほしいです」

「日本語がしゃべれないという設定で行きましょう」そんな人たちの願いを叶えたいと立ち上がったのが浜松市の人たちでした。大学教授や企業の役員、会社員から学生と多様なメンバーが集まって、インクルーシブ社会を目指すイベントを開くことにしました。

<遠鉄百貨店 中村真人常務>
「地域を元気にしようという思いと、共通の志がある人が自然に集まってきた」

<静岡文化芸術大学 中川晃准教授>
「10年もすると、いまマイノリティと呼ばれる方が多くの割合を占めてくる。今のうちからマイノリティの方と手を携えていく社会を作っていけば、課題が顕在化した時にあたふたせずに」

未来の社会を生きやすくするには、お互いを理解するための出会いの場所が必要です。ステージから降りる時、他のアスリートにサポートしてもらった石脇さん。電動車いすサッカーの体験イベントに協力しました。

<石脇将太さん>
「障害者って、なかなか周りから見ると声掛けづらかったりすると思うんですけど、スポーツを通して色々な方と関わることが出来るのはすごくうれしい」

フィリピン出身の村上さんも今回のイベントで手ごたえを感じたようです。

<村上アイさん>
「参加したいです。もっとフィリピンの色んな食べ物を教えてほしいとか…知ってほしいです」

<静岡文化芸術大学 中川晃准教授>
「こういう場を通じていろんな背景の人とふれあって、お互いを理解し楽しんで理解することがすてきなんだなと体験してもらえば、おのずと行動に出ると思う」

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