島の中華料理店が復活! 長崎・五島の「一龍宝」 建設業社長と旧店主がタッグ

新調したのれんを掲げた店の前で引き継ぎの握手をする内尾社長(左)と坂本さん=五島市三井楽町、一龍宝

 2023年9月末に閉店した長崎県五島市三井楽町の中華料理店「一龍宝(いちりゅうほう)」が7月1日、新しいオーナーを迎えて再オープンする。旧店主の坂本喜代氏さん(75)が後継の料理人に指導。店名も味もそのままに、40年以上親しまれてきた五島の名店が復活する。
 坂本さんは大阪や東京の中華料理店で修業した後にUターンし、1978年に開業。丁寧に仕込んだ豚骨スープに、地元の野菜や魚介類がたっぷりのちゃんぽん、スープを隠し味に鉄鍋でしっかり炒めたチャーハンが人気で、島内外のファンに親しまれた。
 後継者がいなかった坂本さんは3年前に閉店を決め、県事業承継・引継ぎ支援センター(長崎市)に相談。仕事のたびに来店していた従業員に事情を聞いた建設業「DEARS」(千葉県)の内尾貴行社長(51)が、その味にほれ込み「島民に愛されている名店。店名も味もそのまま引き継ぎたい」と申し出た。
 中華料理店で料理人経験もある五島市在住の西村洋二さん(48)、茨城県からIターンした築舘颯真さん(21)が調理スタッフに決まり、坂本さんが6月からメニューを伝授している。「内尾社長が店名、味を残したいと言ってくれた時は本当にうれしかった」と引き継ぎに力が入る。
 料理の味はもちろんだが、坂本さんのこだわりは、清潔な店内。以前、三井楽町に教員として赴任していた剣道の師、峯利雄さん=新上五島町=の「物を大切に」との教えを店運営に実践。どんなに疲れていても毎日、調理道具の手入れや店内外の清掃を欠かさず、2013年度には県内で唯一、「食品衛生優良施設厚生労働大臣賞」を受賞。「清潔に保つことは、味を追求する基本」と心構えも説く。
 「培った味と信念をしっかりと伝え、末永く親しまれる店になってほしい」と坂本さん。島の味を守ったことに多くの島民から感謝の言葉をもらうという内尾社長は「良い縁に恵まれ、引き受けて良かった。地元の人や観光客を笑顔にして、将来は名店の味を海外に広げたい」と構想を描く。
 営業は午前11時~午後2時半(同2時オーダーストップ)。月曜定休。電0959.84.2177。

西村さん(右)と築舘さん(左)にチャーハンの作り方を教える坂本さん=五島市三井楽町、一龍宝
人気メニューのちゃんぽんとチャーハン

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