「どのポジションでも何もできなかった」「お先真っ暗」 スイスに完敗の前欧州王者イタリアに多方面から酷評の嵐!「屈辱的の結果を積み重ねている」

EURO2024はノックアウトステージに突入。現地時間6月29日にはラウンド・オブ・16の初日を迎え、イタリア代表がスイス代表に0-2の完敗を喫して、早くも前回王者が大会から姿を消すこととなった。

2006年ドイツ・ワールドカップで4回目の世界制覇を決めた思い出の会場であるベルリンのオリンピア・シュタディオンでの一戦、しかしイタリアはスイスに主導権を握られ、37分にボローニャでプレーするレモ・フロイラーに先制ゴールを許すと、46分には相手のパスワークに翻弄された挙句にヴァルガスのよくコントロールされたシュートで守護神ジャンルイジ・ドンナルンマの牙城が崩された。以降は惜しい場面もあったものの、最後まで追撃はならないままあえなく終戦を迎えた。

2008年大会以降は常にベスト8以上の成績を挙げ、決勝にも2度進出してきた「アッズーリ」だが、今大会は初戦でアルバニアに開始23秒で先制点を奪われ(2-1)、スペインには完敗(0-1)、クロアチア戦でも終了間際の同点ゴールで辛うじて引き分け(1-1)とグループステージで苦戦。一発勝負のトーナメントでいかに巻き返しを図るかが注目されたが、期待は完全に裏切られることとなった。
「パフォーマンスには満足していない」と試合を振り返ったルチアーノ・スパレッティ監督は、「我々にはもっと強いフィジカルが必要だ。チームのクオリティーは高いものの、インテンシティーを90分間維持できなくなるため、この点をもっと強化しなければならない」と問題点を指摘し、敗退については「これまでの監督は本大会まで20試合は指揮したが、私の場合は10試合だった」と準備期間の短さを強調しながらも、「責任は私にある。メンバーを選んだのも私だ」と語っている。

今大会のイタリアで数少ないポジティブな要素として、各試合で素晴らしいセーブを披露したジャンルイジ・ドンナルンマは、「我々には勇気とクオリティーが足りなかった」として、「失望させてしまった人々に、ただ謝罪するしかない」と反省の弁を述べ、「スイスは勝利に値した」と完敗を認めた。

それでも、アッズーリのキャプテンは「今日のチームは本当の我々ではない。このチームには多くの才能ある若い選手がいて、経験を積むことで今後は上手くいくだろう」ともコメント。これには、インテル所属のスイス守護神、ヤン・ゾマーも「カルチョが危機を迎えているとは思わない。セリエAのことはよく知っており、代表チームにはクオリティーの高い選手がたくさんいる。今日は我々の方がかなり良いプレーをしただけだ」と同意している。 しかし当然ながら、現地メディアの報道は一様に厳しく、イタリア国内紙では『Gazzetta dello Sport』紙は「イタリアは面目を失った」「アッズーリの恥ずかしいパフォーマンス」「屈辱」、『Corriere dello sport』紙は「イタリアの惨状」、『TUTTO SPORT』紙は「衝撃的」「お先真っ暗」「スイスによる教訓。イタリアはシステム全体を改革する必要がある」、そして『la Repubblica』紙は「酷い試合の末の敗退」と、いずれも辛らつな見出しを打った。

国外でも、英国の日刊紙『The Guardian』は「イタリアはいつか、このように終わりを迎える運命だったのかもしれない。我々はまだ信じていたし、彼らもまだ信じていた。彼らは欠点や脆さがあっても、その名と王冠にはまだ価値があるからだ。しかし、その王冠がこれほど重く感じられたことはなかった。最も痛ましいのは、敗退する過程で前回王者がほとんどパンチを放たなかったことだ」と綴っている。

またスペインのスポーツ紙『MARCA』は、「さらば、イタリア。欧州王者は強力なスイスに対して当然のごとく敗北。スパレッティは無力さを示した」と酷評。ドイツのスポーツ紙『KICKER』は「イタリア人は情熱を込めて国歌を歌ったが、数分後にはその決意のほとんどが感じられなくなり、ボールを持っている時も持っていない時も失望を招くパフォーマンスを見せた」「彼らは、そのDNAに深く根付いているはずの過剰な守備的サッカーの能力を最近少し失っているようだ。連続失点は、これで8試合連続だ」と指摘した。
英国公共放送『BBC』でコメンテーターを務める元スター選手たちの見方も同様で、イングランドのガリー・リネカーは「これより酷いイタリアをこれまで見たことがない」、アラン・シアラーは「イタリアの酷さには本当にショックを受けた。どのポジションでも彼らは何もできず、スイスに翻弄された」、そしてリオ・ファーディナンドは「今日起こったどのシナリオに対しても、イタリアはひとつの答も解決策も持っていなかったようだ」と、終始ネガティブに語っている。

そしてブラジルの総合メディア『Globo』は、「イタリアは2006年の4回目の世界制覇の後、屈辱的な結果を積み重ねている」と報じ、2010年南アフリカW杯、2014年ブラジルW杯(いずれもグループステージ敗退)、EURO2012(決勝での大敗)、2018年ロシアW杯、2022年カタールW杯(いずれも予選敗退)を紹介し、さらに「リスト」が膨らみ続けていると指摘した。

構成●THE DIGEST編集部

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