能登半島地震きょう半年 「支援の手、もっと」 とちぎVネット、輪島市での活動に本紙記者同行

被災住宅の片付けに汗を流す本県のボランティアたち=30日午前11時10分、石川県輪島市町野町鈴屋

 元日夕に最大震度7を観測した能登半島地震は1日、発災から半年を迎えた。行政や医療機関、民間、個人など、多くの人たちがさまざまな支援で被災地入りしてきた。認定NPO法人「とちぎボランティアネットワーク」(とちぎVネット)は活動を継続する団体の一つだ。これまでに約30回、延べ550人がボランティア活動に従事。29、30の両日は14人が同県輪島市町野町(まちのまち)地区で、被災家屋から家財道具を運び出すなどした。「まだまだ人手が足りない」。Vネットは継続的な支援の必要性を訴える。

 Vネットが活動する町野町地区は、一面を焼失した観光地「輪島朝市」がある市中心部から東方面へ約20キロに位置。北側の一部を海と接し、内陸に入ると周囲を山が囲む。2級河川の町野川の両側に水田が広がり、住宅が点在している。

 至る所で道路が隆起や陥没し、倒壊した建物が目に付く。ある住民は「地震前に約2千人だった住民は、避難や移住で500人に減った」とこぼす。支援の必要性を感じたVネットは4月、同県穴水町から町野町地区に活動拠点を移した。

 記者が同行した30日、ボランティアは風雨の中、同市町野町鈴屋の中村一(なかむらはじめ)さん(68)宅で、半壊した住宅の片付けを手伝った。築50年で倒壊を免れたが、屋根瓦の一部は抜け落ちた。ぬれて使えない家財道具を運び出した。いずれは解体する予定だ。

 中村さんは地震で長女を亡くした。夫の実家で正月を迎えていた時、大きな揺れが襲った。子どもを守ろうとし、家屋の倒壊に巻き込まれたという。「なかなか片付けも手に付かず、当時のままだった。本当に助かる」。ボランティアに何度も感謝を口にした。

 とちぎVネットは7月の週末も支援活動に入る。矢野正広(やのまさひろ)理事長(62)は「町野町地区では私たち以外のボランティアをほとんど見かけない。まだまだ人手が足りない」と現状を強調する。ボランティアを募り、協力を呼びかけている。

沿岸部で漂着物の片付けに当たる本県ボランティア=30日午前9時、石川県珠洲市真浦町ル

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