国重要文化財の修復現場 今だけの「裏側」見学、職人の技に拍手! 長崎・聖福寺 

職人(手前右)が手斧で木材を削る様子を見つめる参加者ら=長崎市、聖福寺

 長崎市玉園町の聖福寺で6月29日、国重要文化財の本堂「大雄宝殿」と「山門」の修復現場が市民に公開された。解体や組み立て工事が進んでおり、抽選で参加した親子連れらが今しか見られない“裏側”を見学。職人の伝統技法にも触れた。
 1677年創建。2014年に大雄宝殿など4棟が国重文に指定されたが、劣化が深刻で、20年度から10年間の計画で修復工事が進められている。
 大雄宝殿(1698年建立)は現在、破損が少ない一部を残して解体が済んだ状態。資材の構造などを記録し、傷みがひどい部分は修理して組み直していく。併せて行った発掘調査では地下構造を確認し、江戸時代の輸入陶磁器なども出土したという。
 一方、山門(1702年建立)は解体した古い資材や、建築当時を再現して新たに加工した木材を使いながら組み立て直している段階。見学会では職人が「手斧(ちょうな)」と呼ばれる道具で木材を削る技術を披露し、参加者から拍手が湧いた。
 神社仏閣が好きで参加した同市中町の自営業、柴田宗佑さん(33)は「修復前は良い雰囲気だったが老朽化していたので、工事が進んでいて安心した。一生に一度しかないようなタイミングで見学ができて、うれしい」と笑顔を浮かべた。

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