ツキノワグマ「捕まえたなら駆除を」6月に登山者噛まれる人身事故 それでも山に放たれた理由は?【岡山】

クマによる被害への、住民の不安が大きくなっています。

6月に岡山県津山市では、2018年以来6年ぶりとなる「人が被害に遭う事故」が発生。個体数が増えているとみられる中、共存のため対策はどうあるべきなのでしょうか。

ツキノワグマが罠にかかった!それでも...

「あの上におるん。割合大きいか」

先月12日に津山市で、シカ・イノシシ用の罠にかかったツキノワグマです。後ろ足が引っ掛かり動けなくなっています。(【画像①】罠にかかったクマの様子)

クマを発見し映像を撮影した、津山市鳥獣被害対策実施隊の神田直人さんです。

(津山市鳥獣被害対策実施隊 神田直人さん)
「初めての経験です。僕のわなにかかったんだな、というのとビックリしましたね」

クマが捕獲された現場は、集落からおよそ400メートル離れた山道でした(【画像③】)。あたりの樹木はなぎ倒され、激しく暴れたことが分かります。

(津山市鳥獣被害対策実施隊 神田直人さん)
「こんな感じでちょこっと顔を出してぐるぐる回って…」
「これが爪痕です」(【画像④】)

現場のいたるところにクマの爪痕が残されていました。

(神田直人さん)
「一番最初に役所に連絡しないといけないということで…」

クマは、通報で駆け付けた警察や市の職員などにより麻酔銃で眠らされ(【画像⑤】)、遠くの山に放たれたといいます。

近くに住む人からはこんな意見も。

「せっかく捕まったんなら駆除するなり、動物園に連れてもらえるとありがたい」

岡山県によりますと、シカやイノシシなど別の動物のわなにかかるケースは「錯誤捕獲」と呼ばれ、法律上、殺処分しないのが原則だということです。

登山者が噛まれる人身事故も それでも何故山に放たれた?

一方で、先月8日。同じ津山市で登山者がツキノワグマに噛まれる人身事故が発生。住民には不安が広がっています。

(津山市の住民)
「もうニュース聞いてから怖くて怖くて。クマよけの鈴を買ってそれを鳴らしながら…」
「子どもが学校から帰るときでもいつどこで(クマが)出るか分からない」

岡山県によりますと、人身被害発生の危険性が高い場所に出没した場合などには、殺処分されることがあるということです。

岡山県が含まれる東中国地域の個体群は、150頭から200頭だった1992年から4倍ほどに増えていると推定されています。それでもレッドデータブックでは絶滅のおそれがあるとされていて、県は個体群の維持と住民の安全を両立していきたい考えです。

(岡山県自然環境課 近藤利信課長)
「人の生活域にはクマを立ち入らせない、クマを排除する取り組みを徹底するのが基本。(繰り返し生活圏への出没があれば)駆除も選択肢として排除することなく総合的に対処していくと」

津山市は、人が噛まれる被害があった場所で、音による追い払いや看板での注意喚起をしていて今後、より踏み込んだ対策をするかどうか、協議しているということです。

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