新幹線長崎ルート 議論の進展に期待 中村知事ら、5択協議提案で

 九州新幹線長崎ルートで未着工となっている新鳥栖-武雄温泉の整備方式を巡り、国土交通省が佐賀県に対し、フル規格に限定せずミニ新幹線なども含めた五つの方式での協議を提案したことについて、中村法道知事は17日の定例会見で、議論の進展に期待感を示した。その上で、「早期整備に向けて全力を注ぐ」と述べ、フル規格実現を目指す県の姿勢をあらためて強調した。
 国交省は16日、フル規格前提での協議に反発する佐賀県側に譲歩する形で、フル規格に加え、スーパー特急方式やフリーゲージトレイン(軌間可変電車)などを含めた協議を提案した。この点について中村知事は会見で、「おのずとこれまでの経緯、課題整理を進める中で一つの方向性が得られるよう努力いただけると考えている」と事態打開に期待した。
 一方、県議会や同ルートの沿線自治体からは、提案に理解を示す声や佐賀県側への注文が聞かれた。
 同ルートの全線フル規格化を求める意見書を賛成多数で可決している県議会の瀬川光之議長は「佐賀県の意向をくんだ対応」と提案に理解を示し、「国の責任で一定解決されていくと思う」との見方を示した。大村市の園田裕史市長は「佐賀県側が何を求めているのかはっきりしない」と同県の対応に不満をにじませ、「協議に入ってもらわないと佐賀県が求めるゴールにも近づかないだろう。佐賀にも(フル規格)推進派もいる。そうした状況も踏まえてまずは早急に協議に応じてほしい」と求めた。

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