NPT延期 「核廃絶に集中を」 84団体が声明

 非政府組織(NGO)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や日本原水爆被害者団体協議会(被団協)、平和首長会議など世界の84団体は12日までに、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の延期を「政治的対立を乗り越え、核兵器を終わらせる努力に集中するかつてない機会」とし、延期期間を「賢明に生かすよう」求めた共同声明を約190のNPT締約国に送付した。
 NPTの運用状況を点検する5年に1度の再検討会議は4、5月に米ニューヨークの国連本部で開催予定だったが、新型コロナウイルスの流行を受け、来年1月への延期が検討されている。声明は、1995年の再検討会議がNPTの無期限延長を決めてから丸25年の11日に合わせて作成。婦人国際平和自由連盟(WILPF)が発案し、ピースボートの川崎哲共同代表らが起草した。
 声明では、2010年の再検討会議で合意した核の「役割の縮小」が進まず、核の近代化などでむしろ拡大、使用のリスクも高まっていると危機感を示した。新型コロナの流行は「大規模災害を前に、いかに私たちが無力かを示した」とした上で「核戦争からの回復は不可能。唯一の理性的な道はその予防だ」と強調。核に充てる資源を「人間のニーズや環境保護に回すべきだ」と訴えた。
 ローマ教皇フランシスコが昨年、被爆地を訪れ、核の使用も保有も「倫理に反する」と述べたことを紹介。核兵器禁止条約はNPTを補完するとし、来年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長なども訴えた。

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