女神大橋の規制エリア“公開” 高さ175メートルの絶景とスリル インフラツアーに記者同行

高さ175メートル地点の主塔頭頂部から南側を望む。下を走る車が豆粒に見えた=長崎市、女神大橋

 長崎港の女神大橋の立ち入り規制エリアを一般公開できないか検討するため、県はこのほど、民間事業者を招いた見学説明会を実施した。絶景とスリルを味わえるインフラツアーの試行に記者が同行した。
 ヘルメットと命綱付きベルトを着用。高さ65メートル地点の歩道から、解錠された柵と扉を通り抜け、橋を支える主塔4本のうち1本の中に入る。急な階段を上り、途中、水平方向へ進路を変える。道路をまたぐ形で隣の主塔とつながる梁(はり)の上に出て、まずは120メートル地点の景色を楽しんだ。この日は微風。だが、大型トラックが通過するたび振動が体にぞわりと伝わる。
 さらに上へ。この橋は桁をケーブルで斜めにつっている斜張橋。主塔内にはケーブルの先端や、揺れを抑える制振装置がある。はしごをよじ登り天井ハッチをくぐると、十数人が立てる広さの頭頂部に着いた。避雷針にしがみつきながら、360度ぐるりと見渡す。歩道から見るより、海岸線の入り組むさま、山と海のコントラストがくっきり。175メートル下を通る車が豆粒のようだ。鳥やドローンの目線になれた。
 県は2015年から2年間、女神大橋インフラツアーの社会実験を36回行い、公募で約370人が参加した。だが本格実施するには民間に運営を委ねる必要があると判断。転落防止用の安全柵を追加整備した。
 見学説明会には12事業者が参加。福岡市の旅行会社経営者は取材に「他の地域にない面白さがある。インバウンド(訪日外国人)向け(健康増進の)ヘルスツアーが受けるかも」と評価。防犯カメラ設置の上、常時開放を提案した。ただ県道路建設課は、観光振興目的より土木施設のイメージアップに主眼を置いており、少人数による限定公開を想定。採算性も課題となりそうだ。

高さ120メートル地点の水平梁から北側を望む。新たに安全柵が追加整備された=長崎市、女神大橋

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