佐世保署員自殺 パワハラと認定 長崎県警 上司懲戒、署長は本部長注意

 今年10月、佐世保署交通課の40代男性警部補が自殺した問題で、長崎県警は11日、直属の上司に当たる同署交通課長の50代男性警部の言動を、亡くなった警部補らに対するパワーハラスメント行為と認定し戒告の懲戒処分とした。署長の50代男性警視正については、管理監督責任で本部長注意としたが、パワハラの行為責任はないとしている。2人とも同日付で依願退職した。
 県警によると、課長は今年4月から9月中旬までの間、亡くなった警部補ら2人に対し、他の署員の前で「お前には能力がない」「できなかったら(役職を)辞めろ」などと叱責(しっせき)。さらに時間外勤務を自己申告しにくいような指導を繰り返し、部下の正確な勤務実態の把握も怠っていた。
 課長は「未処理の案件が増えてきて焦りが生じ、行き過ぎた指導になってしまった」、署長は「亡くなった署員の苦悩に気付いてあげられず申し訳ない。署長として力量不足だった」とそれぞれ話したという。
 遺族には11日、県警が直接説明し、謝罪したという。遺族は県警を通じ「今回の処分は納得できるものではないが、県警にはこのようなことが二度と起きないよう再発防止に努めてもらいたい」とコメントした。
 警部補は10月3日、自宅で亡くなっているのが見つかった。関係者によると、遺書には上司2人からパワハラを受けていたことをうかがわせる内容が記されていた。上司の言動に問題がなかったかどうか、県警が調査していた。


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