GoTo全国一時停止「唐突」「仕方ない」 長崎県内観光業、我慢の年末年始

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」について全国一時停止を菅義偉首相が表明した14日、県内宿泊業者は「痛手だ」「休止が唐突すぎる」と困惑。一方、感染が広がる状況を踏まえ「やむを得ない」との声も聞かれた。客足が上向いていた県内観光業も「我慢」の年末年始を迎えそうだ。
 同日夕、一時停止の一報が入ると長崎市の長崎スカイホテルには、問い合わせの電話やメールが100件近く相次いだ。塚島宏明副社長(40)は「詳細が分からずお答えできていない」と困惑気味。年末年始は「GoTo」利用者で例年並みの予約が入っていただけに「感染拡大を止めよう、との首相の強いメッセージだと思うが、キャンセルが増えると痛手だ」。
 雲仙市の雲仙温泉街は、年末年始はどの旅館・ホテルも予約でほぼ満室。雲仙旅館ホテル組合の福田努組合長は「休止の発表が唐突すぎる。年間で一番の書き入れ時。10日間で通常の1カ月分の売り上げがある。今後の資金繰りにも影響しかねない」とキャンセル料の補填(ほてん)を国に求めた。
 県観光振興課によると、県内で「GoTo」宿泊者に起因する感染事例は確認されていない。佐古竜二課長は「県内観光業界にとって大きな痛手」としながらも「その後の需要回復につなげる上で今は我慢のしどころなのだろう」と話した。
 一方、対馬観光物産協会の西護事務局長(48)は「対馬を訪れる観光客数も順調に回復していただけに残念だが、やむを得ない」と苦渋の表情。カウントダウンイベントなどを予定する佐世保市のハウステンボスも「一時停止は仕方ない」と政府の決定を尊重。担当者は「お客さまに安全安心を提供できるよう、これまでと同じように対策を徹底する」と話した。

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