長崎市は控訴断念を 入市被爆認定 原告親族ら申し入れ

長崎市の控訴断念を求め、中川部長(右)に申し入れ書を手渡す親族男性=同市役所

 長崎市の女性(86)を被爆者と認め、被爆者健康手帳交付を市に命じた長崎地裁判決を受け、原告の親族や支援者が15日、市に控訴断念を求める申し入れ書を提出した。応対した市原爆被爆対策部の中川正仁部長は控訴について明言を避けたが「判決を重く受け止めている。国と協議の上、できるだけ早く結論を出したい」と話した。
 女性は昨年3月、長崎への原爆投下翌日に家族らと疎開先から市内に入り、入市被爆したとして手帳交付を申請。入市時に爆心地近くで会った親族の証言などを証拠として提出した。市が証言に記憶の食い違いがあるなどとして申請を却下したため、女性は市を相手取り提訴。同地裁は14日、証言の信用性を認め、市に手帳交付を命じた。
 女性の親族の男性(71)らが市役所を訪ね「原告は高齢で一刻も早い援護が待たれる状況にある。控訴することなく原告の援護にあたるよう切望する」とした申し入れ書を中川部長に手渡した。

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