被爆者手帳を交付 長崎市、86歳女性の親族に 入市被爆

中川部長から手帳を受け取る峰さんの親族(左)=長崎市役所

 長崎市の女性を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を同市に命じた長崎地裁判決を受け、市原爆被爆対策部の中川正仁部長は5日、女性の親族や支援者と面会し、手帳を交付した。
 女性は同市為石町の峰暁美さん(86)。認知症を患うなど外出が困難なため、手帳は親族の男性(71)が代理で受け取った。
 峰さんは長崎への原爆投下翌日に家族らと疎開先から市内に入り、入市被爆したとして2019年3月に市へ手帳交付を申請。入市した際に出会った親族の証言などを証拠としたが、市は証言の食い違いがあるなどとして却下していた。同地裁は昨年12月、証言の信用性を認め市に手帳交付を命令。市は控訴せず、判決が確定していた。
 中川部長は面会で「判決を踏まえ、今後の(手帳交付を巡る)審査に生かしたい」と語った。男性は取材に「手帳を受け取るまで長かった。(峰さんは病気で)歩くことも話すこともできない。手帳をいただけて、感謝したい」と話した。

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