1月長崎県内経済情勢 持ち直しテンポ緩やかに 3期ぶり下方修正

 長崎財務事務所は1月の県内経済情勢報告をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、総括判断は「持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている」とし、3期ぶりに下方修正した。昨年末からの感染再拡大で百貨店・スーパーの来店客や観光客が減少し、個人消費の落ち込みが影響した。
 個人消費も3期ぶりに下方修正。観光は、主要施設の入場者数が昨年5月に前年比でマイナス97.9%まで落ち込んだが、同11月にはマイナス21.8%にまで持ち直した。だが、その一因だった政府の観光支援事業「Go To トラベル」は同12月下旬から一時停止に。以降、修学旅行や個人客のキャンセルが発生し、休館を計画する宿泊施設もあるという。
 百貨店・スーパーは、催事効果のほか、内食需要が続いたことで冷凍食品やインスタント食品の売り上げが伸びた。だが、1月に入って外出自粛の動きが広がり、来店客が減少。売り上げも低迷している。家電大型専門店、ホームセンター、ドラッグストアの各販売額は、空気清浄機やテレワーク関連商品、マスク、消毒液などの需要が高く、前年を上回った。
 生産活動は、電子部品・デバイスは持ち直しの動き。汎用(はんよう)・生産用機械は厳しい受注環境が続く。大手造船は一定の操業を維持しているが、船主の投資意欲が減退し、受注環境は厳しい。雇用環境は「弱い動き」となっている。
 先行きについて丸山徹所長は、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きが続くことを期待しつつも「感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」とした。
 経済情勢報告は毎年1、4、7、10月の年4回まとめ、公表している。

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