被爆2世・平野さんの半生追う 「高校生平和大使に至る道」出版 継承のモデルと長崎新聞記者執筆

高校生平和大使を創設した平野さん(右)と執筆した田賀農記者=長崎市役所

 全国で核兵器廃絶の署名を集め国連に届ける「高校生平和大使」を創設した長崎市の被爆2世、平野伸人さん(74)の半生をつづった「高校生平和大使に至る道」(長崎新聞社発行)が出版された。
 同社報道部の田賀農謙龍記者(41)が執筆した。田賀農記者は被爆から75年が経過し、平和大使のほか、在韓被爆者問題などの解決に向け活動を続ける平野氏が、若者が平和活動をする「継承のモデル」になると考え取材を開始。昨年6月下旬から7月上旬にかけて本紙に連載記事「被爆2世を生きる 平野伸人の半生」を掲載した。書籍には連載で書ききれなかった出来事や、発効が22日に迫る核兵器禁止条約など核軍縮を巡る現代の国際情勢も収容した。
 平野さんは高校時代、白血病で倒れた同級生の死をきっかけに被爆2世を自覚し、常々「若い人を」と話していた被爆医師の故秋月辰一郎氏の言葉が平和大使創設の契機になったと、写真を交えて紹介している。表紙のマリア像は平野氏が描いた県展入選作。
 19日、市役所で会見した平野さんは「私にとって運動は人生そのもの。これからも運動を進めていきたい」。田賀農記者は「『長崎でこんなことがあった』と考えるきっかけにしてほしい」と語った。四六判、211ページ。1500円(税別)。県内の主要書店で販売している。

© 株式会社長崎新聞社