ブラジル被爆者団体解散 昨年末 会員の高齢化など理由

 ブラジル在住の被爆者や被爆2世らでつくり、在外被爆者への被爆者援護法適用や核廃絶などを訴え活動してきたブラジル被爆者平和協会=サンパウロ市=が昨年末、解散したことが21日、分かった。支援者によると、会員の高齢化や、ブラジル在住被爆者への援助が、一昨年から軌道に乗り始めたことが理由。
 同協会は1984年7月、広島で被爆し戦後、ブラジルに移住した森田隆氏(96)が呼び掛け、被爆者17人で設立(当時は在ブラジル原爆被爆者協会)。長崎や広島で被爆しながら、海外に移り住んだため日本政府の援護の外に置かれてきた在外被爆者への被爆者援護法適用を求める活動や、現地の高校生を国連へ派遣するなど、平和活動の継承にも尽力した。
 長年、会長を務めた森田氏は日本の支援者に宛てた書面で「皆さまに感謝申し上げる」とし、核兵器禁止条約に不参加の国々に参加を求める声明文も発表した。
 同協会など在外被爆者を支援してきた市民団体の平野伸人氏(74)によると、45年以降、ブラジルを含めた5カ国に在外被爆者団体が設立。近年は被爆者の高齢化で活動を休止している団体もあるという。

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