【シルクロードS】もちろん上がりはメンバー最速 シヴァージが大外一気で高松宮記念へ名乗り

シヴァージ(手前)は上がり33秒6の鬼脚で突き抜けて重賞初制覇

GⅢシルクロードS(中京芝1200メートル)は、直線で大外急襲のシヴァージ(牡6・野中)が差し切り勝ち。自慢の豪脚を炸裂させ、悲願の重賞初制覇となった。次のターゲットになる同舞台=3・28高松宮記念でのGⅠタイトル獲得に向けて、陣営は早くも〝ビクトリーロード〟を描きつつある。その裏には異例とも言える現中京開催の事情があった。

19年3月(播磨S2着)以来のコンビだった鞍上・福永は、勝利のために取るべき作戦を簡潔かつ明確に定めていた。〝自慢の豪脚をいかに効果的に繰り出すか〟――。その一点だ。

レース後に「いかに力を使わせずにポジションを取るのが大事だと思っていたけど、うまくいきましたね。4コーナーでの手応えは十分だったし、自信を持って直線に向かえました」と作戦的中のレース運びを振り返った福永。持ったままで中団の外という絶好のポジションは、まさに思惑通り。直線を迎えて待ってましたとばかりに追い出すと、内に固まって競り合う先行勢をあざ笑うかのようにまとめて差し切った。

シヴァージはオープン3戦目の北九州短距離Sを快勝したが、その後の5戦は5、5、10、5、5着でパンチ不足に陥った。しかし、繰り出した末脚は重馬場だったGⅠ高松宮記念(5着)も含めてオール最速の33秒台。極上の切れ味を見せながらも、なかなか結果が出ない日々に、野中調教師は「GⅠでもGⅢでも5着だからなあ」と苦笑したこともあった。

それがGⅠ参戦に向けて賞金加算必須の一戦で勝負駆けに見事成功。「あの位置が取れたということは、外枠がかえって良かったのかもしれない。馬場もちょうど、この馬向きだったからね」と会心のレースを満足そうに振り返った。

現在、改修工事中の京都競馬場の代替として年明けから開催されている1回中京は6週間のロングラン。その後、わずか4週のインターバルを経て次の3月開催を迎えるという異例の開催状況にある。次のターゲットである高松宮記念は、その3月開催の最終日。馬場がシヴァージにとっておあつらえ向きの状態になることは明白だ。

野中調教師は「馬場は今日と似たような状態だろうから、同じ舞台で勝てたのは大きいね」と頂点取りに向けて自信を見せる。

「勝ち切ってくれたので次のステージに自信を持って臨めます。いい決め手があるのでGⅠでも上手に走ってくれるのでは」と締めくくった福永。馬場適性◎で迎えるであろう3・28決戦に、19年ミスターメロディなど、高松宮記念現役最多勝(3勝)の〝中京マスター〟福永が引き続き手綱を取るようなら…まさに鬼に金棒だ。

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