「国を動かして」被爆体験者と支援者 長崎市・県に早期救済要望

長崎市の中川部長(左)に要望書を手渡す(右から)川野さん、山内さん、岩永さん=長崎市民会館

 長崎市の爆心地から12キロ以内で原爆に遭いながら、国が定める被爆地域の外にいたため被爆者と認められていない「被爆体験者」と支援者が10日、長崎市と県に対し「市県が一緒になって国を動かしてほしい」と訴え、抜本的な早期救済を目指すよう要望した。
 市県は、広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会(八者協議会)が7月に国へ提出予定の要望事項に、被爆体験者問題と広島の「黒い雨」問題の解決を初めて加える方向で広島市県と検討していることを明らかにした。いずれの問題も国による被爆地域の線引きの妥当性が問われている。
 長崎市と県に市内でそれぞれ要望したのは、長崎地裁で係争中の被爆体験者を被爆者と認めるよう求める訴訟の原告、岩永千代子さん(85)や山内武さん(77)、支援する県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(81)ら。「被爆体験者は高齢化し、動けなくなった人や亡くなった人もいる」「死を待つほかないのか」と語り、救済を求めた。
 国に被爆地域の拡大是正を求めてきた長崎市原爆被爆対策部の中川正仁部長は「これからも国に強く救済を求めていきたい」と述べた。

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