広がる事務作業自動化 長崎RPA協議会 「自立自走」へIT企業がサポート

ソフトウエア・ロボットを扱う「PINCH HITTER JAPAN」の社員=諫早市小船越町(同社提供)

 事務作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を採り入れる長崎県内企業がじわりと増えている。普及団体「長崎RPA協議会」には、導入を検討する企業とサポートするIT企業が加入。代行ロボットを一緒に作成し、IT技術がない社員でも保守運用を担えるよう育成している。
 RPAは人手不足や働き方改革を背景に注目されている技術。定型業務をソフトウエア・ロボットに代行させて、従業員を手間のかかる単調な作業から解放し、より生産性の高い業務に振り向けられる。社内基幹システムを変更せずに自動化することで、コストを抑制できる。
 同協議会の会員数は39法人・個人。ロボット作成の担い手を育成する学習塾は2019年4月に始め、第8期を開講中。これまでに140人が受講した。県内数社が実際にRPAを導入した。
 このうち法人在庫リユース業「PINCH HITTER JAPAN(ピンチヒッタージャパン)」(諫早市)は発送伝票作成を自動化。それまで約6人の社員が毎日約6時間かけて2500件程度の注文確認・確定操作から伝票データや梱包(こんぽう)用のリスト作成までをこなしていた。現在はロボットが午前中に処理を完了。吉岡拓哉社長は「人員を販売に回し、扱う商品数を増やせた」として、さらなる業務自動化に意欲を示す。
 ロボットを作ったのは人事部門などの社員で、今後の保守運用も担う。最初に同協議会の技術者が業務の流れを分析。国内大手RPAテクノロジーズ(東京)のサービス「ビズロボ」を使い、無料トライアルで試作、効果を評価した。この1カ月半の間に社員も知識と技術を身に付けた。トラブル時の問い合わせは通常メーカーの場合、メールやチャットが主流で時間を要するが、同協議会は地元技術者が電話で応対したり、駆け付けたりする。
 同協議会の松本博会長は「地元IT企業が顧客の状況に合わせたサポートをするので安心して導入いただける。一緒にロボットを作りながらノウハウを身に付けた社員によって『自立自走』につながる」と話す。
 問い合わせは同協議会事務局の株式会社松本(電095.814.9800)。

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