【中山記念】止まらないヒシイグアスが4連勝 松山「まだまだ強くなります」

ヒシイグアス(右)は4連勝と充実一途。次のターゲットは大阪杯かそれとも…

中山競馬場で行われた伝統のGⅡ中山記念(芝内1800メートル=1着馬に4・4大阪杯の優先出走権)は、1番人気のヒシイグアス(牡5・堀)が1分44秒9のタイレコードで差し切り勝ち。前走のGⅢ中山金杯に続いて重賞連勝を決めるとともに、昨年4月から続く連勝を「4」に伸ばした。天井知らずの勢いを見せる5歳馬は果たしてどこまで強くなるのか。

この日もセールスポイントの「勝負強さ」を存分にアピールした。2着ケイデンスコールとの差はクビ。前走の中山金杯と同じ着差の際どい競り合いをまたしてもモノにした。

抜群のスタートから道中は先行勢から少し離れた4番手の外めをキープ。4ハロン通過46秒3というよどみのないペースの中、スムーズに流れに乗り、3コーナーを過ぎてから徐々に進出。最後の直線に入ると、並んで追走していたケイデンスコールをブロックしながら先行勢を捕らえにかかる。ゴール間際でそのケイデンスがインから抜け出しを図ったが、鞍上の松山は冷静に対処。馬体を寄せて行って闘志を奮い立たせると、激しい叩き合いをしのぎ切った。

「前が飛ばしていましたが、開幕週ということもあったので、いいポジションを取って進めました。あのペースをしっかりついて行ったのですが、それでも最後まで脚色が衰えることはありませんでした。ゴール前は内から抜け出してくる馬もいて、危ないシーンもありましたが、しっかり勝ち切ってくれました。強い競馬でした」。こうレースを振り返った松山はパートナーの頑張りを褒めたたえた。

メンバーを見渡せば手放しで喜べないのも事実。これまで古馬路線の有力馬が一年を占う始動戦として、近年ではドバイの国際競走、大阪杯の前哨戦として多くのGⅠ馬が参戦してきた伝統のGⅡも、今年は08年以来、久しぶりにGⅠ馬参戦なしという低調なメンバー構成だった。

そんな中でクビ差のVは評価が分かれそうだが…。馬自身はまだ底を見せていない点に“反論材料”がありそう。当の松山も「乗るたびに良くなっています。これで重賞2連勝ですけど、まだまだ強くなります」とさらなる可能性を感じている。

これで自身は4連勝。GⅢ→GⅡとくれば当然、GⅠも視野に入ってくる。次走は未定も、厳しい流れを自力で動いてつかんだ勝利は自信になったはず。5歳の新星が今年の古馬の勢力図を塗り替えるかもしれない。

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