もうすぐ咲きます

 「密です、密」「ステイホーム」など小池百合子東京都知事の数ある新型コロナ語録の中でも一、二を争う“名作”ではないかと考えている言葉がある。「桜は、きっと来年も咲きます」▲〈散ればこそ/いとど桜はめでたけれ〉-花の見ごろは短い。知事の考える「不要不急」とは何なのか、と問われた流れで、花が咲いていないとお花見にならないのはもちろんだけど今年は我慢を-と呼び掛けたのがこの発言だった。昨年3月27日の記者会見▲あれからやがて1年、今年の桜は記録的な急ぎ足でやって来そうだ。日本気象協会の最新の予想によると、全国のトップを切りそうな福岡と高知は週末の13日、本県や東京でも15日ごろの開花が見込まれるという。平年より10日前後早い▲冬場には厳しい寒波が繰り返し襲い、2月下旬からは暖かな日が増えた。これをサクラの目線でみると、冬越しの休眠からは順調に目を覚まし、その後の花芽の生育もいたって良好ということになるらしい▲さて、今年も桜は咲くけれど…。首都圏の緊急事態宣言は昨日から2週間の再延長。花見や宴会は全国的に今年も我慢、春の喜びはどうやら2年続けて中ぐらい▲出口が見えるようで見えてこない。「来年の楽しみに」って言ったじゃないか…「無策」を憤る声も聞こえる。(智)


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