「忘れず風化させない」-。東日本大震災から10年となった11日、長崎の被爆者や、核廃絶を訴えている高校生平和大使らが長崎市松山町の爆心地公園で集会を開き、被災地に思いをはせた。
東京電力福島第1原発事故で被災した福島県の人たちを支援、交流してきた市民団体「福島と長崎をむすぶ会」などが開き、約30人が参加した。原爆落下中心地碑に献花した後、震災発生時刻の午後2時46分に黙とうし、犠牲者を追悼。新型コロナウイルス感染症対策でリボンなどを介しながら、碑を取り囲むように連帯を意味する「人間の鎖」をつくり、再生への歩みを続ける被災地の復興を祈った。
同会の川端翔共同代表(34)は「福島のことをよそ事と捉えず、常にこれからの社会の問題と考えることができれば、今も苦しい思いをしている福島の人たちの励ましになる」と強調。平和大使らは「長崎から震災と原発事故を風化させず、平和と安心の世界を実現するため、活動を続けることを誓う」とした宣言文を読み上げた。
被爆者の竹下芙美さん(79)は取材に「いまだに原発事故の除染が終わらず、古里に帰れない人はつらいだろう。一日も早く帰れることと、放射線で苦しんだ私たち被爆者のような人がこれから先、出ないことを祈っている」と話した。
同会と県被爆二世の会は同日夜、福島第1原発事故について考える講演会を市内で開いた。
被災地「忘れない」 長崎の被爆者と高校生 復興祈る 長崎・爆心地公園で追悼集会 被爆者ら献花
- Published
- 2021/03/11 23:37 (JST)
- Updated
- 2021/03/12 16:47 (JST)
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