若手確保へ、社内ツーリング 長崎「ユニバーサル・ガード」 世代交流ネットで発信 「楽しい会社のモデルに」

レトロなオートバイのツーリングを楽しむ社員=長崎市内(田崎さん提供)

 人口減少に歯止めがかからない長崎県。若者の流出を防ぎ、若手社員の確保につなげようとユニークな取り組みを始めた企業がある。長崎市玉園町の警備会社「ユニバーサル・ガード」はレトロなオートバイをそろえたツーリングクラブをつくり、社員が休日を楽しんでいる。発案したのは24歳の副社長だ。
 赤、黄、緑。カラフルなオートバイ7台が石だたみの町並みを駆け抜ける。いずれも生産が終了した「ホンダ・ジュリオ」。レトロな見た目が特徴的だ。

「こんな楽しみ方もあるというモデルを示したい」と語る田崎さん=長崎市琴海戸根原町

 副社長の田崎相(すがた)さん=同市琴海戸根原町=は「若い人に『この会社にいたら面白い』となってほしい」と語る。ツーリングも戦略の一つ。目標の原点は、地元を離れる周囲の人に抱いた疑問だった。  友人や先輩は多くが就職などで都市部へ出て行った。「長崎は稼げないし、面白みがない」といった声も聞いた。だが、田崎さんは「都会は給与が高い分、家賃などの出費もかさむ。手元に残る金額はあんまり変わらないのでは」と考えていた。「それなら、都会と収入で戦わず『こんな楽しみ方もある』というモデルを示したい」
 田崎さんは高校卒業後、2年半通信業界で働き、けがを機に退職。警備員のアルバイトを始め、正社員に切り替えた。入社時は唯一の20代社員。やりたいことは決まっていた。
 「楽しく働ける、おしゃれなセキュリティー会社を目指す」
 手始めに作業着やヘルメット、ロゴのデザインを一新。20代の社員が入社するとツーリングを企画した。入手したオートバイは社員の好みに応じて塗り直した。20~50代の7人が世代を超えて楽しむ様子をホームページなどで発信。次第に若手社員も増えた。
 今はお笑いタレントと連携して社歌を制作している。「迷惑を掛けず、かっこつけたいし目立ちたい。ずっと夢の途中にいる」。大きな目標に向け、きょうも次の一手を模索する。

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