夢を追い遺志を継ぎ 上越高女子バレー部監督・熊木博幸さん 公立で実績 私学で挑む

 公立校の女子バレーボール部で35年間指導し、県大会準優勝など実績を残してきた熊木博幸さん(57)が昨年度限りで退職し、本年度から私立校の上越高で心機一転、再スタートを切っている。女子バレーボール部監督に就き、「『挑戦』をテーマに新しい歴史をつくっていきたい」と意気込んでいる。

 熊木さんは現在、上越高保健体育科教諭。昨年度まで35年間、公立8校で教諭とバレーボール部顧問を務めた。その間、高田商で春高バレー県予選準優勝、高田農で新人戦準優勝をはじめ数多くの実績を重ねてきた。

 柏崎総合に勤務していた昨年7月、上越高のホームページで保健体育とバレーボール専門教諭の募集が目に留まった。1カ月半悩んだ末、生徒たちによく伝えていた「迷ったらGO」の言葉を思い出した。「諦めて下がるより、迷ったら一歩踏み出そう」と自らに言い聞かせた。

部員と一緒に体を動かし、育成に情熱を傾ける上越高の熊木監督(中央奥)

 最終的に決断に至ったのは高校(直江津)―大学(日本体育大)の先輩で、上越高で長年指導した故・飯塚聡さん(令和2年1月9日に58歳で逝去)の存在。二つ上で「バレーボールを始めた時のキャプテン」であり、「親友のような存在」と慕っていた。「先輩が導いてくれたのかな」と、後釜の採用試験に強い縁を感じた。

 さらには、「全国に出たいという夢」が膨らんだ。「公立校だとチームをつくっても、勝負できるようになると転勤になる。腰を落ち着けてやれる私学で」との思いを抱いていた。また、上越バレーボール協会理事長の立場として、「若手指導者の育成が必要」と感じ、「私学でやらせていただく間に、次世代の指導者を育てたい」と決意している。

◇いずれは全国へ

 現在、部員は1、2年生で18人。指導して2カ月近く経過し、これまで同様の熱い指導で生徒と向き合っている。春季上越大会では初勝利も挙げた。「一生懸命についてきてくれ、子どもたちに恵まれている。近く県総体があるが、じっくりと先を見据えてチームづくりをしていきたい。いずれ近い将来、全国のステージに立てるように」と抱負を語る。

練習を前に、部員に指示を出す熊木監督(右)

 主将の小嶋芽生さん(2年)は「熊木先生と出会って、バレーを本気でやろうと思った。一緒にやりたい、信頼できる先生。きつくても信じてついていきたい」と、指導者と部員が一丸となっている。

© 株式会社上越タイムス社