回る水車に感染収束願う メッセージ掲げ地域に癒やし 上越市下百々

 上越市下百々の水田脇に、上江用水路の水流を利用した水車が据えられている。直径3メートルの水車は「新型コロナ早期収束願う!」とメッセージが掲げられ、涼しげな水音や、ししおどしの響きが米山と初夏の田園風景を背景に癒やしを与えている。

 水車を製作するのは同町内の羽山勇さん(63)。10年以上前から毎年、趣味で製作に取り組んでいる。昨年は水不足のため断念し、今年は2年ぶりの作業となった。設置作業や管理は下百々環境保全会、町内壮年会らが協力している。

 水車作りのきっかけは子どもの頃、近所のおじさんが作ってくれた水車。カヤでできた水車が雪解け水で回る様子に魅せられ、大人になったらもっと大きな水車を作ってみたいとの夢を実現させた。

 水車は毎年、新しく作り替える。羽板となる杉板48枚を図面通りに組み立て、同じもの二つを貼り合わせる。重さは水を含むと100キロほど。今年は田植え後の5月初旬、大人7人掛かりで土台に設置した。

新型コロナの早期収束を願うメッセージが掲げられている水車。涼しげな水音を響かせる

 水車でくみ上げた水は集水升に流れ込み、ししおどしを動かし風流な音を演出したり、ガマやマコモダケが植わるビオトープを潤したりしている。

◇愛きょう振りまく招き猫

 動力を利用して回る台座には、「開運招福」を願い大小8個の招き猫が取り付けられている。愛きょうたっぷりにくるくる回る様子が人気で、通り掛かった子らがなでていくという。

招き猫の置物は水車の動力を利用して台車が回る仕組み

 保全会の秋山広明会長(65)によると、福祉施設利用者や、付近の二貫寺の森でバードウオッチング帰りの人たちが訪れるといい、壮年会「百心会」の六川考一さん(67)は「町内の風物詩。毎年楽しみにしている」と活動継続を願った。

 水車には毎年、願いを込めたメッセージを掲げる。羽山さんは「今年は『コロナ収束』しかないと思った。癒やしと涼を楽しんでほしい」と話した。

 水車は8月上旬までの設置予定。場所は県道77号を下百々集落開発センターの角で三和方面に曲がり、約150メートルの所。ピンクや黄色ののぼり旗が目印。

© 株式会社上越タイムス社