【東京五輪】有観客へ脆弱プラン 医療関係者キッパリ「1週間前の陰性証明書なんて意味がない」

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会場での感染を防ぎきれるのか

本当に大丈夫なのか…。東京五輪の開幕まで残り2か月を切った。政府側は有観客での開催を視野に入れ、新型コロナウイルス感染症対策を進めている。観客にPCR検査などを事前に受けてもらい、入場時に「陰性証明書」の提示を求めるプランが浮上しているという。一見「安全・安心な大会運営」に一歩近づいたようにも見えるが、医療関係者は政府案の〝穴〟を指摘。チケットの保有者からも疑問の声が上がっており、早くも課題が浮き彫りとなった。

政府案は観客に自費でPCR検査などを受けてもらい、観戦日から1週間以内の陰性証明書を提示することを条件に入場を認めるというもの。ワクチンを接種した人は、接種証明書があれば陰性証明書は求められない。とはいえ、日本ではワクチン接種が進んでいないのが現状だ。

あるチケットホルダーは「ワクチン接種はどんどん後ろ倒しになっているのにね」と皮肉を交えながら「陰性証明書をもらうための費用が高いのもネックだが、本当にPCR検査を受けないといけない人が受けられなくなってしまうのでは」と首をかしげた。

大会の観客の有無や上限数については、政府や東京都、大会組織委員会が6月中に判断する予定。ただ、菅義偉首相(72)は5月28日の記者会見で、無観客ではなく有観客での開催に意欲を示し、プロ野球やJリーグを例示して「入場者数などを参考にしながら対応できる」と話している。

現状、プロ野球やJリーグでクラスターは起きていないとはいえ、無観客開催より感染リスクが高いことは確か。そこで観客に陰性証明書を提示してもらうわけだが、ナビタスクリニックの理事長で感染症に詳しい久住英二医師は「1週間前の陰性証明書なんて意味がない気がする。(観戦日直前の)3日間くらいと考えるべき」と疑問を投げかけた。

新型コロナウイルスは「今日の検査結果は陰性だけど、翌日は陽性のケースもあり得る」ことから、理想としては「当日にゲートで検査をやって陰性だったので入ってくださいというのはさすがに無理だが、せめて前日ぐらいに検査を受けてきてもらうのはベスト」と久住医師は話す。

ただ、日本の検査体制上は難しく「都会の駅前のPCR検査センターみたいなところだったら当日に結果が出るが、地方の人たちは街中の医者に検査してもらうしかない。そうすると結果が出るのが早くても、だいたい翌日くらい。だから3日以内というのはかなりカツカツ。本当はタイムラグがない方がいいけど、現実的な落としどころは3日ぐらい」と提案した。

万が一、有観客でクラスターが起きれば五輪の〝負の歴史〟になることは間違いない。強行開催に踏み切った場合には、絶えず恐怖が付きまとうことになりそうだ。

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