「子や孫へ史実継承」 被爆2世ら火葬場跡地を清掃 諫早・百日紅公園

慰霊碑周辺など園内を清掃する参加者=諫早市、百日紅公園

 長崎県諫早市内の被爆2世らが5月30日、かつて長崎原爆の犠牲者を荼毘(だび)に付した場所で、現在は慰霊碑が建立されている天満町の百日紅(さるすべり)公園を平和への願いを込めて清掃した。忘れられた史実を次代に伝える継承活動として年に2回取り組み、今回が10回目の節目。被爆・終戦から76年となる中、参加者は核廃絶への思いを新たにした。
 長崎被災協・被爆二世の会・諫早(高屋忠義会長)が同市原爆被災者協議会(小松タヅエ会長)と合同で開催。高齢化した被爆者の姿はなかったが、被爆2世や諫早子ども劇場などの関係者ら約20人が生い茂った雑草を刈り取るなどした。
 同公園はJR諫早駅に近い高台に位置する。長崎被災協・被爆二世の会・諫早によると、同所にはかつて市営火葬場があり、長崎への原爆投下直後には救援列車や諫早の救護所などで息絶えた被爆者らが運び込まれた。火葬された遺体の数は400~500体と伝えられている。跡地に同公園が整備された。
 園内には昨年8月、被爆者や2世が中心になって慰霊碑を建立。関係者らは今年の長崎原爆の日には同所で慰霊祭を計画している。高屋会長(68)は「ここで多くの被爆者が火葬されたことを特に若い人たちは知らない。(自分たちの)子や孫たちが再び核兵器の犠牲にならないよう、清掃活動などを通じて史実を継承していきたい」と話した。

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