山頂、50年ぶりに”絶景”取り戻す 有志らが金比羅神社一帯を整備

山頂からの景色を説明する森田さん=佐世保市、金比羅神社

 長崎県佐世保市鹿町町深江の金比羅山頂上にある「金比羅神社」一帯を、地域の有志らが約1年かけて整備した。同神社と関係がある藤護神社(同町)の総代長、森田剛さん(78)は「約50年ぶりに、頂上から江迎湾が見えるようになった。この絶景を多くの人に見てもらいたい」と声を弾ませている。
 藤護神社によると、金比羅神社の祠(ほこら)は1895年に「航海の神様」として航行の目印になるよう、山頂に建立。毎年4月10日には「金比羅祭り」が開かれている。
 ここ数十年は神社周辺の木が生い茂り、祠は隠れ景色も見えなくなっていた。森田さんは、「昔のように海が見えるようにしたい」と藤護神社の役員や同祭りに携わっている深江資産管理組合員らに声を掛け、参道や頂上周辺を整備することにした。
 作業は2020年3月に始め、頂上周辺の木の伐採などを進めていった。昨年9月には台風10号の影響で大木が鳥居に当たり倒されるなどしたため、修繕作業もしなければならなくなった。メンバーの平均年齢は70歳を超えているが、背負子(しょいこ)を作り、18キロほどのセメントを背負って約10分の山道を登ったという。
 参道には階段を作り、手すり代わりのロープも取り付け、4月下旬に作業が終了。5月23日には、完成の神事があった。
 頂上から鹿町や江迎の街並みも見渡せるようになり、森田さんは「子ども時代に見ていた景色を取り戻せた」と笑顔を見せた。

参道の入り口に設置した案内の周りに立つ関係者=佐世保市内

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