25年間 「信頼」を悪用 日本郵便、再発防止策の方針表明 住吉郵便局元局長詐取

 日本郵便は2日、長崎住吉郵便局の元局長が架空の郵便貯金で知人らから25年にわたり約12億4千万円をだまし取ったと公表した。地元の名士としての「信頼」を悪用したことに加え、親子3代にわたり局長を務め、外部の目が届きにくい環境だったことも発覚が遅れる要因となった。同社は再発防止策として、親族間で局長を交代する際に一定期間、第三者を挟むことを検討していると表明した。
 同社によると、住吉局を含む小規模なエリアマネジメント局(旧特定郵便局)は公募で局長を採用。全国で約1万9千人の局長がいるが、結果的に親族が後任に就くケースがあり、元局長も父親から受け継ぎ、息子が後を継いだ。
 同社の社内調査では、元局長が退職後も局内で勧誘を続けていたことが判明している。同社は、親族間など新旧の局長間で防犯面のけん制が効きにくいと想定される場合は、第三者を一定期間、局長に充てる方策を検討するとした。
 さらに長期間同じ場所で勤務するリスクを解消するため、他局の局長らと「5年に1回程度、約1カ月間」職場を交代する施策の検討も表明。局長同士の「なれ合い」を懸念する記者の問いに、同社の衣川和秀社長は「犯罪の予兆を見逃したら問責の対象になる」と強調した。
 このほか元局長が局外で金銭の受け渡しをしていた点を踏まえ、検査部門の社員が顧客宅をランダムに訪問して注意喚起する取り組みや、局外で顧客から現金を預かることを原則禁止する措置を検討するとした。
 衣川社長は一部地域での試行も含め「多くのものは年度内にやっていきたい」と意向を示した。


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