ペプチド農業 実用化へ 新富町、京都の企業

 新富町は4日、化学メーカーの三洋化成工業(安藤孝夫社長、京都市)と、持続可能な農業の実現に向けた連携協定を結んだ。町などが同町三納代に整備する実証実験農場を活用し、世界的にも先進的なペプチド(アミノ酸結合体)を活用した農業の実用化を目指す。
 同社によると、ペプチドには植物のストレス耐性向上や成長促進などの効果があり、農業に活用することで農薬の削減や収量増などが期待される。しかし、ペプチドは高価なため、実用化は難しいとされている。
 同社は同町の実証実験農場で地元農家と協力。ペプチドを葉面散布するなどしてキュウリの生育を促進したり、ポリフェノールなどブドウの機能性成分量を向上させたりする実験を計画している。機能性食品への加工なども検討している。
 実験を行う農場は、町とJA児湯が設立した農業公社・社団法人ニューアグリベースが整備を予定。本年度中に試験用ハウスなどを備えた約10アールの研究施設を設ける。
 町役場と同社京都本社をオンラインでつないで行われた調印式=写真=で、同社の樋口章憲副社長は「新富町と協業しながら新しい農業の形をつくり、まちづくりや農業に携わる方が利益を生み出せるようにしたい」と期待。小嶋崇嗣町長は「新富町はSDGsを基本に据えた町政に取り組んでいる。農業の環境負荷低減を実現させ、持続可能な地域をつくっていきたい」と述べた。

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