「一番弱い世代」が意地 柔道男子団体・長崎日大 成長の7連覇 第73回県高校総合体育大会 第1日

【柔道男子団体決勝、長崎南山―長崎日大】長崎日大の次鋒バックオフ(右)が小外掛けで一本勝ち=諫早市中央体育館

 長崎県高校総合体育大会第1日は5日、県内各地で27競技が行われ、柔道男子は長崎日大が7連覇を達成した。
 「一番弱い世代」と言われてきた選手たちが意地を見せた。柔道男子団体決勝は、悔しさをバネにしてきた3年生の連続一本で流れをつかんだ長崎日大が、第1シードの長崎南山に内容勝ち。普段は厳しい姿勢を崩さない松本監督に「しびれた、グッときた」と言わせる7連覇になった。
 0-0で迎えた次鋒戦で起用されたのは準決勝まで欠場していたバックオフ。昨秋からの右手の骨折や手術で、練習に復帰したのは今大会の約3週間前だった。「極限まで悩んだギャンブル」(松本監督)を父親が米国人のムードメーカーに託すと、開始約50秒に小外掛けで一本勝ち。豪快な先制パンチでチームに勢いをつけた。
 これに続いたのが中堅宮下。昨秋の県新人大会決勝で長崎南山に敗戦後、一度は主将の座を下級生に譲った。「チームのことを一番に考えていなかった」。4月に再びリーダーを任されると「3年生の意識が変わった。背伸びをせず、できることに徹してくれた」(松本監督)。勝利を引き寄せた背負い投げも、ひたむきに取り組んできた練習通りの形だった。
 2-1で迎えた大将戦は73キロのルーキー浦が100キロ超級を相手に指導二つを取られながらも、懸命に耐え抜いて試合終了。ライバルが優勢という戦前の予想を鮮やかにひっくり返した。
 「信じていた」「ホッとした」。表彰式後、バックオフや宮下の短い言葉に達成感がにじんだ。「一番弱い世代」が大きく成長した瞬間だった。

 


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