295日ぶりのハマスタで好投 “理詰め”のDeNA今永がユニホームの着こなしを変えた訳

DeNA・今永昇太【写真:荒川祐史】

ロッテを相手に6回107球4安打1失点と好投した

■DeNA 4ー3 ロッテ(6日・横浜)

セ・リーグ最下位ながら、交流戦では中日と並んで首位に立ったDeNA。交流戦後を含め浮沈の鍵を握るのが、昨年10月に左肩のクリーニング手術を受けた影響で出遅れたエース、今永昇太投手である。6日には本拠地・横浜スタジアムでロッテ戦に先発し、6回107球4安打1失点の好投。8回に山崎が同点に追いつかれたため、今季初勝利はお預けとなったが、手応えは十分。チームも9回に大和のサヨナラ打で勝利を収めた。

「外国人選手をマークしたい。走者がいない時には大胆に。いる時には点差やイニング、風を考えながら慎重に投げたい」。今永は登板前日にこう語っていた。特に、パ・リーグ断トツの17本塁打を量産している4番・マーティンは要注意だった。

そのマーティンを2回先頭で迎えると、内角高めの147キロ速球を2球続け、二飛に仕留めた。4回1死走者なしでの第2打席は一転して、カーブ、チェンジアップ、カットボールを駆使してカウント3-2とした後、最後はやはりインハイの148キロ速球で空振り三振に。6回先頭の第3打席でも、カウント2-2から外角低めのカットボールで空振り三振に仕留め、キーマンに仕事をさせなかった。

一方、2点リードの4回、一発を浴びれば同点の2死一塁でレアードを迎えると、慎重に球を低めに集め、ストライクなしで四球で歩かせた。続く藤岡に左翼線二塁打を許して失点したが、佐藤都を申告敬遠し、「9番・投手」の小島から三振を奪ってリードを保った。まさに理詰めで、“大けがをしない”投球ぶりだった。三浦監督も「非常に良かった。1巡目と2巡目、大胆にいく所と慎重にいく所をしっかり投げ分けていた」と評した。

「バロメーターにしている」球速もMAX150キロを計測

今季は5月23日のヤクルト戦(神宮)でようやく1軍初登板し、この日は3試合目。本拠地・横浜スタジアムのマウンドは、昨年8月15日のヤクルト戦以来295日ぶりだった。しかも、チームはこの日を最後に、東京五輪の野球・ソフトボール会場となるハマスタを約3か月間離れる。「なんとか勝って、横浜スタジアムを使えない間の勢いにしたい」と宣言した通りの投球だった。

ボールを投げる感覚は、手術前と同じではなく、違和感を拭えないという。それでも「1軍に復帰してから、ファームで出なかった150キロが出て、ストレートのアベレージ(平均球速)もけがをする前と変わらず、正直一安心した。球速が全てではないけれど、少しだけ自分のバロメーターにしているので」と明かす。この日も最速150キロを計測。多彩な変化球を駆使するが、やはりストレートで相手を押し込めることが前提になる。

今季から、ユニホームのパンツの裾を折り返してストッキングを露出させる“オールドスタイル”で臨んでいる。「よく考えてみると、長いズボンでやる理由って何なのか、疑問に思えた。大学時代にはプロの長いズボンに憧れたけれど、機能を考えると、オールドスタイルの方が脚が上がりやすいし、夏も涼しい」と熱弁を振るう。何事も理詰め。“らしさ”が戻ってきたとも言える。

【動画】ユニホームの着こなしを変えた今永

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(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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