米金利引き上げで韓国はジレンマに? 「資金流出か、家計利子負担増か」韓国研究機関

米国が金利引き上げに踏み切った際、韓国も金利を引き上げないと、外国人投資資金が流出する恐れがあるが、逆に金利を引き上げたとしても、家計負債の利子負担が増加するというジレンマに立たされる可能性があるとの分析結果が出ている。

7日、韓国経済研究院(韓経研)は、「米国の金利引き上げ可能性と金利引き上げによる経済的影響と示唆点」という報告書を通じてこのように明らかにした。

米国は今年4月の消費者物価上昇率が前年同期比で4.2%を記録し、2008年9月の5.0%以来、13年ぶりに最大値を示したうえ、国際通貨基金(IMF)が今年4月に修正予想した今年の成長率も6.4%に達することから、米国の金利引き上げ時期が早まる可能性が高まっている。

米FRBによる今年の各経済変数に関する予測値を用いて適正短期債券金利を推定した結果、6ヶ月満期米債の適正金利は今年第1四半期の金利水準である0.07%に比べ1.37〜1.54%ポイント上昇しなければならと分析された。韓経研は、「米FRBが政策金利を引き上げだすとした場合、短期国債金利が適正水準を示すまで引き上げるだろう」と展望した。

韓経研は、韓米両国間の金利差、ウォン・ドル為替レート予想変動率など用い、国内総生産(GDP)比での外国人投資資金純流入の割合を説明するモデルを設定して、米国の金利引き上げの影響を推定した。

推定結果によると、米国が基準金利を上げ、6カ月物債券金利が今年第1四半期(1~3月)に比べ1.37〜1.54%ポイント上昇した場合、韓国市場で外国人投資資金の純流出規模は16〜18億ドルに達すると分析された。

韓経研はまた、韓国の家計貸出金利を韓国短期国公債金利で分析するモデルを設定したところ、短期国公債金利が米国の適正金利上昇幅の文だけ上昇した場合の家計貸出利子負担増加額を計算した。

計算結果によると、韓国の短期国債金利が米国適正金利の引き上げ幅(1.37〜1.54%ポイント)の文だけ上昇すると、韓国の平均家計貸出金利は1.54〜1.73%ポイント上昇することが分かった。金利の引き上げに伴う年間家計貸出利子負担増加額は25兆6000億〜28兆8000億ウォンに達すると推定された。

これを基に推計すると、金融負債がある世帯当たりの利子負担は220万〜250万ウォン増えることになり、韓国の家計にとっては打撃となる。

韓経研は、米国が金利を引き上げた場合、韓国はジレンマに陥る可能性があることから、対応戦略を作ることに総力を傾ける必要があると強調した。

チュ・グァンホ韓経研経済政策室長は、「過度な民間債務を考慮したとき、米国よりも先制的な利上げは望ましくなく、財政の効率化と国家債務の健全性の確保に努力する一方で、企業の競争力の向上、雇用の拡大などで民間の利上げ防御力を拡充することが急がれる」と話した。

(参考記事:「韓国の家計負債は世界平均を大きく上回る…金利上昇時に衝撃恐れ」)
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