思い出を供養します 川崎の写真館 「捨てられぬ」悩みに光

「写真供養」のチラシを手に、捨てられない写真の提供を呼び掛ける鈴木さん=川崎市高津区溝口の写真のたなかや

 捨てられない思い出を“供養”します─。川崎市の写真館でつくる「川崎写真師会」は6月30日、同市高津区久地の養周院で「写真供養」を営む。古い写真に感謝し、供養してお焚(た)き上げをする。初めて実施した昨年は、祖父母を写した一枚や戦時中の写真など8千枚以上が集まった。同会は「思い出が詰まった処分できない写真を整理し、喜んでもらえたらうれしい」と供養する写真を募っている。

 「古くから残る写真を捨てられない人もいる。写真の仕事をする者として、商売とは別に行く末まで見届けなくてはならない」

 川崎写真師会会長で今年創業80年を迎える「写真のたなかや」(同市高津区)社長の鈴木克明さん(76)はこう考え、以前から捨てられない写真を処分する方法を模索していた。

 そんな折に、捨てられない写真を神社でおはらいし、焼却する「写真供養」が金沢市で営まれていると知り、2019年に同市の写真館を訪ねて供養の方法を伝授してもらった。

 昨年7月の初回は、川崎市内外の約80人から写真約8千枚とアルバム10冊が寄せられた。祖父母の写真や戦時中の写真などが届き、1人で約千枚を寄せた人もいた。「それだけ写真を捨てられずに困っている人が多かった。コロナ禍で家の中を片付けた人も多かったのではないか」と鈴木さん。市内で写真の供養ができるのは同会のみという。

 供養の対象は、家族写真、風景写真、何かが写り込んだ「心霊写真」など処分に困った写真。6月14~19日まで、写真のたなかやのほか、いずれも同市川崎区にある日之出写真館、ヒロセ写真館、三陽写真館で受け付ける。

 A4判以下は50枚まで無料、アルバムは有料。ネガやデータ、額縁は受け付けない。持ち込んだ写真は6月30日午後2時から養周院で供養する。

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