上越市戸野目のフィリップス邸(旧小柳邸)で6日、和装で古民家の雰囲気を楽しむ「大正ロマン」イベントが開かれた。「雁木のまち再生」の理事を務めるクリス・フィリップスさん(59)による初企画。骨董(こっとう)市や着物のフリーマーケットも併せて行われた。
フィリップスさんは平成30年に築約180年の同家屋を購入し、修繕を施しながら暮らしている。目指すのは調和の取れた「当時の姿」。現代風に改築された部分を元に戻し、大正・昭和の時代に使われていた家財を収集、配置する「逆リフォーム」を行っている。
昨年は一般公開や写真撮影会などを行い、建物の魅力発信に取り組んだ。「古民家の美しさを楽しむためには、そこにいる人も当時の姿になることが大切」と考えたフィリップスさん。着物着用のドレスコードを定めたイベントを企画した。
この日は同市内をはじめ妙高市や長岡市から着物姿の人々が来場。ブラウン管の家具調テレビ、ダイヤル式の黒電話や陶磁器などの調度品を観賞し、参加者同士が交流を楽しんでいた。
妙高市の浅岡雅江さん(59)は「建物と家具の調和が素晴らしい」、同市の近藤政子さん(57)は「レトロな空間で懐かしい話が進んだ」、長岡市の北紘子さん(40)は「今は着物を着ていく場所が少ないので良い機会。古風な物に囲まれ、タイムスリップした気分になった」と、それぞれ感想を話した。
フィリップスさんは「古い物には不便さがあるが、その中に調和や美がある。今後は(着物イベントを)毎月行い、交流の輪を広げていけたら」と話していた。