【陸上】山県亮太の恩師が打ち明けた日本新記録9秒95の〝予兆〟

山県亮太の恩師は〝予兆〟を感じていたという(代表撮影)

陸上男子100メートルで〝日本最速の男〟となった山県亮太(29=セイコー)がさらなる進化を見据えている。

6日の布勢スプリント(鳥取・ヤマダスポーツパーク陸上競技場)の同種目決勝で、9秒95の日本新記録を樹立。9日のオンライン会見では「本当に山あり谷ありだった。やっと出たなという思いが強い」と笑みを浮かべたが、直近2年は肺気胸やケガなどの影響もあり、思うような走りができない日々が続いていた。それだけに、広島・修道高陸上部時代の恩師である松沢慶久氏は「まだまだ満足できる走りじゃない、完成系じゃない、本人がもっと上にいきたいという気持ちが強かったんじゃないかな」と教え子をたたえた。

東京五輪を間近に控えた中での復活劇。松沢氏はある〝予兆〟を感じていたという。「今年は織田記念(4月、広島)のときに本人と話をする時間があった。そのときに『速報値よりも公認タイムの方が速いときは調子がいいんです』と言っていた。(布施スプリントの)予選で10秒01が出たので、決勝はもうちょっといけるんじゃないかなという期待をしていた」。実際に決勝の速報値は9秒97だったが、公認タイムとして表示されたのは9秒95の日本新記録。まさに好調ぶりを物語る結果となった。

ただ、東京五輪に出場するためには日本選手権(24日開幕、大阪・ヤンマースタジアム長居)で3位以内に入る必要がある。山県は「順位を狙うのは簡単ではないが、自信を持って臨みたい」と気合十分。日本人史上初の五輪ファイナリストへ、ここで立ち止まるつもりはなさそうだ。

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