県の大規模ワクチン接種始まる 長崎、佐世保 900人、混乱なく

ワクチン接種を終え、経過観察のため待機する人たち=県庁

 長崎県独自の新型コロナウイルスワクチンの大規模接種が12日、長崎、佐世保両市の2会場で始まった。65歳以上の高齢者のほか、福祉施設の従事者や警察官ら計約900人が米モデルナ製ワクチンを接種した。1回目を7月2日まで、2回目を同10~30日まで連日実施する予定。
 接種の加速を目指し開設。県の要請を受け、県医師会や県看護協会などが長崎会場(県庁)と県北会場(佐世保市吉井町のサンパーク吉井)に計30人の医療従事者を派遣した。
 長崎会場には午前9時半ごろから次々と高齢者が集まった。受け付けが同10時に始まると、来場者は接種券、予診票、身分証を提示。問診後、接種を受け、経過観察のため15~30分待機した。モデルナ製は4週間後に2回目の接種が必要。原則同じ会場で同じ時間の予約になる。混み合う時間帯もあったが、大きな混乱はなかった。
 70代の夫に付き添って長崎会場を訪れた長崎市の60代女性は「2人同時に重い副反応が出たら困るので夫が先に受けた」と話した。
 県北会場も接種を受ける人や送迎の家族らが続々と自家用車などで訪れた。外は蒸し暑く、担当者が「中でお待ちください」などと呼び掛けた。佐世保市三川内町の60代女性は「市の会場は(希望する日の)予約が取れなかったので助かった。接種するまでは知人と会うこともためらわれたので」と安堵(あんど)の様子で語った。

自身の接種や接種する親族らを待つ人たち=佐世保市、サンパーク吉井

 予約枠に余裕が生じた場合に備え、県は64歳以下の高齢者施設従事者や警察官などにも対象を拡大。長崎会場は計579人のうち、65歳以上529人、64歳以下47人、余剰分を3人に接種。県北会場は計310人のうち65歳以上144人、64歳以下158人、余剰分を8人に接種した。長崎会場は注射器のトラブルで1回分を廃棄したという。
 県北会場で接種を受けた50代男性は高齢者施設で働く介護職。「密着する仕事で、施設の中と外を行き来するのでリスクもある。接種できてよかった」と振り返った。


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