認知症高齢者の捜索に役立てて 消防団員向けに養成講座 諫早

ロールプレーイングで認知症高齢者役の講師(左)に声掛けする受講者=諫早消防署

 認知症を理解することで地域の安全安心につなげてもらおうと、長崎県諫早市は8日、市消防団関係者らを対象にした認知症サポーター養成講座を市内で開いた。市は2008年度から小中学校や職場、老人クラブなどで講座を開催しているが、消防団向けは初めて。認知症高齢者への声の掛け方などを学ぶことで、日ごろの地域での見守りのほか、行方不明者捜索や災害時の避難誘導などでも役立ててもらう考えだ。
 認知症サポーターは、認知症への正しい知識を持ち、当事者やその家族を見守る人。全国で養成が進む。市内の認知症サポーター(講座受講者)は今年3月末現在、約1万2700人。今回、市消防団からの要請もあり、実施が決まった。
 講座には平尾幸祐団長ら団本部員や女性部員、諫早消防署員ら計約50人が参加。認知症の基本的な知識を学んだ「キャラバン・メイト」の市職員3人が講師を務め、認知症の特性や対応する際の基本姿勢などを学んだ。具体的な対応について、講師は「声を掛けるときは一人で。何人かが同時に話し掛けると、怒られていると不安に感じてしまう」などとアドバイスした。講師を避難誘導が必要な認知症高齢者らに見立て、声の掛け方を実践的に学ぶロールプレーイングもあった。
 市は今後、各地域の支団単位でも開いていく予定。平尾団長は「認知症の特性を知っておかないと声掛けができない。若い団員にも受講してもらい、地域に密着した消防団として徘徊(はいかい)や有事に対応していきたい」と話した。

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