「重要な一歩」「中身ない」軍縮対話合意うけ 長崎県内の被爆者ら

 米ロ首脳会談で、核軍縮に関する対話の開始について合意したことを受け、長崎県内の被爆者らは一定評価しつつ、今後の具体策がないことに疑問の声も上がった。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(80)は「まずは話し合いを、との方針はありがたい」と受け止める。「意見の対立はあるだろうが、信頼関係を築き、核を使わない議論を続ける雰囲気をつくってほしい」と語る。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の吉田文彦センター長は「重要な一歩」と評価。米ロ間の核軍縮枠組み「新戦略兵器削減条約(新START)」に中国を加えた“ポスト新START”をつくる必要があるとして、「米ロが思い切った核軍縮をしないと中国は入らない。中国に交渉していくビジョンを描くことが重要だ」と課題を示した。
 「形式的なもので、具体的な中身はない」と指摘するのは県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(81)。「実戦向けの核開発を続ける中で、必要な核兵器まで削減できるのか。米ロは本気でそこまで考えているかどうか。議論を注目しておく必要がある」とくぎを刺した。

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