【高校発みやざきSDGs】ー21ー都城農業(下) 落ち葉捨てず堆肥に

落ち葉堆肥化プロジェクトに取り組む生徒たち

 本校ライフデザイン科は「落ち葉堆肥化プロジェクト」に取り組んでいる。今年で創立106年を迎える本校は、多数の巨木が生い茂り緑豊かな学びやであるが、秋には落葉が始まり掃除の時間は回収作業に追われ、集めた落ち葉は業者に廃棄を依頼している。しかし「落ち葉をゴミとして捨てるのはもったいない」と思い立ち、農業高校ならではの知識を活用し、落ち葉を堆肥化して野菜や草花を育てることにした。

 堆肥化した落ち葉を畑に施すと、土がフカフカになり、土壌の保肥性、排水性、通気性が高まるなどの土壌改良の効果が期待できる。落ち葉堆肥は、落ち葉と水、米ヌカ、そこに微生物の力を借りて作られる。製造工程で何層にも落ち葉を積み重ねる作業があるが、落ち葉を踏み締めるので生徒も教員も息が上がり寒い冬でも汗をかく。1カ月ほどたったころ、恐る恐る落ち葉の山に手を入れた生徒たちはその暖かさに驚く。微生物の働きで、中から湯気が上がり温度計は40度以上を示す。ここで生徒たちは改めて自然の力に感心し、自然界で起こる循環に気付くのである。落ち葉は黒く変色しボロボロになり半年ほどで堆肥になる。

 現在、完成した落ち葉堆肥を試験的に雑草防止や保温のため畑に敷いている。先日ジャガイモを収穫した時、今まで見られなかったミミズを多数確認できた。今後は、落ち葉堆肥の作り方や効果について研究を深める予定だ。そして地域の福祉施設や小中学校でも、野菜や草花づくりに落ち葉堆肥を普及できるように頑張っていきたい。(教諭・平部和弥)=日曜日掲載= 

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