「コロナ禍に輝きを」 金びょうぶに模様次々 長崎で展示へ

無地の金びょうぶに絵筆を走らせる井川さん=雲仙市、雲仙ビードロ美術館

 閉塞(へいそく)感が漂う新型コロナ禍に輝きを与えようと、現代美術家で長崎大名誉教授の井川惺亮(せいりょう)さん(76)が、長崎県雲仙市小浜町の雲仙ビードロ美術館で、金びょうぶ作品(縦180センチ、幅415センチ)を制作した。長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで7月6~18日に開く企画展「誓いの火と共に」で展示する。
 井川さんは、東京芸術大大学院を修了後、渡仏しマルセイユ美術学校で学ぶ。1984年から2010年まで長崎大教育学部で絵画を指導し、現在も制作活動を続けている。
 金びょうぶは江戸後期の僧侶良寛の書を張った「良寛貼交屏風(はりまぜびょうぶ)」がモチーフ。同屏風の複製を所蔵する同美術館を6月16日に訪れ、複製を眺めて思案にふけりながら、無地の金びょうぶに赤、青、黄色などの模様を次々と描いた。
 井川さんは「良寛の書体の流れに身を任せて絵筆を走らせた。日本の伝統美が、コロナ禍でどう輝くのか見てもらいたい」と話している。

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